『アリータ:バトル・エンジェル』 「上の世界」に行かないの?
『ターミネーター』『アバター』などのジェームズ・キャメロンが原作に惚れ込み、映画化を望んだとのこと。
監督は『エル・マリアッチ』『シン・シティ』などのロバート・ロドリゲス。

宙に浮いた都市ザレムと、そのゴミを引き受けているアイアンシティ。舞台となるアイアンシティでは人間の多くが身体をサイボーグ化していて、医者であるイド(クリストフ・ヴァルツ)の役割は病気を治すことではなく、手足に付けられた機械を修理すること。
そんなイドが鉄屑のなかから拾ってきたのは300年前のサイボーグだった。イドは亡くなった自分の娘用の身体を彼女に与え、記憶を失った彼女をアリータと名付ける。
原作漫画と似ているのかはわからないけれど、アリータの造形はモーション・キャプチャーを使ったフルCGでできているようだ。『アバター』も同様の技術でつくられていたわけだが、あちらは違う生物だったためにそれほど違和感はなかった。それに対して『アリータ:バトル・エンジェル』はサイボーグとはいえ人間と変わりない見た目。ただかなり目がデカい。もっと違和感アリかと思っていたのだが、アクションシーンが始まればそんなことは気にならなくなる。
アクションは実際にはアリータを演じるローサ・サラザールの動きを撮影してCGにしているらしいのだが、アクションシーンのなかで髪の毛が妙に野暮ったく見えた。CGだから仕方ないのだろうか。
『アクアマン』は水のなかで揺れる髪の毛を、実際には役者陣に風を当てて撮影し、それをCGで修正したとか。そっちのやり方のほうが自然に見えた。『バード・ボックス』(Netflix作品)にも顔を出していたローサ・サラザール自身も目が大きくてかわいらしい女性だし、実写とCGを部位ごとに組み合わせるというみたいな技術ができればさらによかったのかもしれない。
パンツァークンスト〈機甲術〉と呼ばれる古武術を使うアリータのアクションが見どころ。ハンター・ウォーリアーたちのたまり場での乱闘とか、モーターボールでのローラースケートを履いた闘いはなかなか楽しめる。
個人的にはグリュシュカ(ジャッキー・アール・ヘイリー)を倒したときの“回転式かかと落とし”が一番決まっていたと思う。あの技はブル中野の必殺技だった“回転ギロチン”をモデルとしているんじゃないかと勝手に思っているのだが、製作陣のなかに女子プロレスのファンも混じっていたのだろうか。もちろんアリータはあの頃のブル中野には似てはいないが……。
この作品自体は序章的な扱いで、「上の世界」と「下の世界」というディストピアものなのにも関わらず、「上の世界」にたどり着く前に終わってしまうのが拍子抜けだった。
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この記事へのコメント:
まれ
Date2019.02.25 (月) 08:37:04
勘違いから映画「インセプション」を彷彿させ、当時は、脳(=夢の中)だけで生きるなんて、なんの意味があるのだろう?と思ってましたが、今は「身代わりロボットがあればいいのに」と思え、ドラえもんの「どこでもドア」があればと思っていたイノセントな自分が懐かしいです・笑
主人公の目、私も大きすぎて気持ち悪いと思ってました。ネット上のキャラだと思えば見慣れるものなのかと。そんなことを思ったので、遠隔操作ロボットと勘違いしたんですね、今、気が付きました。自己完結。
Nick
Date2019.02.26 (火) 23:13:10
ラブストーリーでもありますし。
原作を読んでないからわかりませんが、
次は「上の世界」の話になるのでしょう。
最後に大物の顔が明らかになりましたし。
まれ
Date2019.03.04 (月) 07:26:59
脳が人間なら、サイボーグというより人間・・・ということは遠隔操作の分身ロボットもある意味人間になりうる!? 実際、技術革新で近いものが作られている感じもして、終わりのない人生はキツいのでは?と思うものの、そんなことを考える前に、それを手に入れれる世界に住んでいるか?が問題・・・Orz