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『女王陛下のお気に入り』 王冠を戴く頭には憂鬱が消えることはない

 監督は『ロブスター』『聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア』などのヨルゴス・ランティモス
 ベネチア国際映画祭では銀獅子賞(審査員大賞)と女優賞(オリヴィア・コールマン)を獲得し、アカデミー賞でも最多の10部門にノミネートされているとのこと。

ヨルゴス・ランティモス 『女王陛下のお気に入り』 女王(オリヴィア・コールマン)とサラ(レイチェル・ワイズ)アビゲイル(エマ・ストーン)の三つ巴の闘い。

 タイトルにある女王陛下とはアン女王。グレートブリテン王国最初の君主として知られる人物だ。その女王(オリヴィア・コールマン)の寵愛を巡っての女同士の闘いを繰り広げることになるサラ(レイチェル・ワイズ)とアビゲイル(エマ・ストーン)という人物も実在する。
 ヨルゴス・ランティモスの過去作品では奇妙なルールが設定されていた。たとえば『ロブスター』のように独身者は動物にされてしまうとか……。この意味不明なルールも、実は現実のある部分のグロテスクな表現となっているのがおもしろいところ。しかし『女王陛下のお気に入り』はランティモスのオリジナル脚本ではないし、史実をネタにしているだけにそうした妙な設定はない。とはいえ観終わった後に嫌な気持ちになるという点では、ランティモスらしさを感じさせる作品となっていたと思う。

 アン女王は最高の権力者であり「何でも思いのまま」と思いきやそんなことはなく、痛風に苦しみ精神的にもかなり不安定な状態。政治的な事柄には関心がなく、それを取り仕切っているのがサラ。実は裏ではサラが女王のことを意のままに操っているのだ。というのも、アンとサラは女王と側近以上の関係だから。
 そうしたところに現れたのがアビゲイル。彼女は元貴族で、サラの従妹でもあるのだが、父親の借金のカタとして売られ酷い目に遭ってきた。アビゲイルはサラと女王に取り入ることに成功し、次第にサラの位置を狙うようにまでなっていく。

『女王陛下のお気に入り』 実際の宮殿で撮影された映像はそれだけで見もの。

 女王の寵愛を巡るサラとアビゲイルの闘いというのがスタートだが、次第に三つ巴の闘いとなっていく。サラ以上の閨房術で女王を悦ばせてくれるアビゲイルが新たに女王の寵愛を受けることになるのだが、これはサラに嫉妬を抱かせる女王の作戦でもあるのだ。
 地獄から這い上がってきたアビゲイルは、貴族に戻るために政治家たちを巻き込んだ策略を巡らせる。それによって追い落とされることになったサラは、毒を盛られ瀕死の傷を負い、アビゲイルと同じような地獄を見ることになる。
 結局、女王は戦費のためと偽って私腹を肥やしていたサラを追い出し、アビゲイルを選ぶことに。しかし、そのことでアン女王が幸せになったかと言えばそんなことはない。女王は17人の子どもを妊娠しつつも、その子どものすべてを亡くしてしまうという不幸もあり、常に憂鬱さを抱えていて、子ども代わりのウサギを可愛がる日々だった。アビゲイルは女王に取り入るためにウサギにもやさしくしているけれど、実際にはそれは手段でしかない。女王はアビゲイルがそのウサギをこっそり踏みつける様子を見てしまう。女王の寵愛を巡る闘いとはいえ、アビゲイルが欲しているのは女王の持つ権力でしかないのだ。
 一方で追放されたサラは、女王の幼なじみでもあり、女王を利用していたとはいえ正直な部分もあったのだ。それを失った女王の憂鬱はさらに増すほかないというのがラストシーンだったのだろう。サラもアビゲイルも地獄を味わい、女王もまた地獄のような憂鬱のなかにいる。最高の権力者がそうだとすれば、ほかの人間は言わずもがな。やはり嫌な気持ちになる作品だった。まあ、宮殿のなかの男たちは裸になってはしゃいでいたりもして能天気にも見えたけれど……。

 国家の一大事である戦争が、実は女王とふたりの女性の閨房での争いによって決まっているというのでは、振り回される民衆のほうはたまったものではないだろう。アビゲイルは娼婦から抜け出して貴族に戻ったものの、結婚初夜もそっちに興味はないらしい。旦那も女王も利用する対象なのだが、結局は娼婦と同じように性的な奉仕作業に従事しているというのが何とも皮肉な話だった。
 舞台となる宮殿はハットフィールド・ハウスという本物の宮殿とのこと。すべてが自然光だけで撮られていて、フェルメールの絵画みたいな場面もあったりするし、宮殿の内部を垣間見られるだけでも価値がありそう。多用される魚眼レンズは周囲がひん曲がるほど極端な画面を生み出していて、その意図はわかりかねるが異世界にいる気分にはなる。

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Date: 2019.02.19 Category: 外国映画 Comments (25) Trackbacks (5)

この記事へのコメント:

まれ

Date2019.02.20 (水) 02:15:48

こんばんは。映画鑑賞から少し離れた生活をしていた為、ランティモス監督を知りませんでした。でも、この映画が話題なので、Nickさんの過去作品の感想を拝読し、面白そうと思っていました。ただ、鑑賞するのはDVDになってからかなと思っていたので、早速ストーリーを知ることができ、感謝しています。ストーリーに捻りはないものの、一昔前は同性愛、しかも女性版はタブーで、特に王室での出来事となると映像化は難しい作品だったから、この監督が映画化したのかもしれないですね。映像が美しいのが見て取れたので、DVDが出るのを心置きなく待てそうです、ありがとうございました。

Nick

Date2019.02.23 (土) 00:09:13

ランティモス作品はオリジナルだと設定が結構変わっているので、
この作品のほうがとっつきやすいかもしれませんね。

まれ

Date2019.02.23 (土) 08:30:22

ロブスター。Nickさんの解説を拝読し、面白そうな作品だと思いました。確かに監督の過去作品は解説なしでは難解な作品ですね。

Nick

Date2019.02.24 (日) 17:33:16

 『ロブスター』は一応コメディなのだろうとは思います。何だかよくわからなくてあまり笑えませんが。

まれ

Date2019.07.07 (日) 11:17:10

DVDの入荷日に店舗へ行ったので、早速、借りました。あらすじはわかっており、陰鬱なラストなのだろうと思いながら美しい映像を楽しんでいましたが、鑑賞後の感想は・・・まさかの、爽快感!笑 なぜだろうと考えてみると、男性中心、または女性中心でも寵愛を受ける男性が陰で操る歴史物語が常なのに、擦り寄る男に目もくれず、心身ともに強靭で美しい女2人と権力者である女王の3人が、国内外の政治を掌握しながら、己の地位を不動のものにしようとする様が、清々しく、そして男らしかったからかもしれません 笑 観てはいませんが、よしながふみ原作の男女逆転「大奥」もありましたが、この映画で色仕掛けで寵愛を受けるのも、政治に影響を与えるのも「女」であり、出てくる男性は何かしらの「小道具」か「お笑い担当」でしかないという前代未聞の設定が、独特の感性を持った監督が引き受けた理由なのかな?と思ったりしました。全く予想していなかった爽快感に、自分でもお面白く感じました。

ボーナストラックのインタビューにて、魚眼レンズでの撮影は、隅々まで完璧なセットすべてを映り込ませたかったと、監督が仰っていました。それに反して、髪の毛などは一糸乱れぬ方が違和感があるので、わざと乱したり、長身の俳優によりヒールが高い靴を履かせたりという、背景の完璧さと人間臭さや滑稽さが、この映画での監督のこだわりのようでした。実在の宮殿にて自然光を使っての撮影は本当に美しい映像だと思いましたが、予算の都合なのか衣装のバラエティが少なかったのが少し残念でした。宮廷映画は豪華絢爛な衣装も楽しみの1つだったりするんですよね 笑

Nick

Date2019.07.13 (土) 11:19:24

爽快感ですか。なるほど。
サラとアビゲイルの戦いは確かに男らしくて清々しい感じでしたね。
アン女王はともかくとして。
そして男はほとんど添え物で、
化粧が濃すぎて道化みたいにすら見えました。

同じ時期に『ふたりの女王 メアリーとエリザベス』という作品もあったのですが、
こちらはもっと昔の時代の話でした。
あまりノレなくてレビューは書きませんでしたが……。
こちらも宮廷映画と言えばそうなのですが、
スコットランド女王のメアリーはほとんど洞窟みたいな場所に居たりして、
豪華絢爛な衣装とはほど遠い感じでした。
エリザベスの風貌は「アリス・イン・ワンダーランド」のヘレナ・ボナム=カーターのようで凄かったです。
というよりも「アリス・イン・ワンダーランド」がエリザベスを意識したんでしょうね。

それから突然ですがブログを移転することにしました。
こちらのブログはそのまま残しますが、
新しいほうで代わり映えもなく引き続き映画レビューを書くつもりです。
お時間があればそちらも覗いてみてください。

まれ

Date2019.07.24 (水) 10:08:57

『ふたりの女王 メアリーとエリザベス』。レンタル・ショップで目に入り、借りようか一瞬迷いましたが、普通の歴史物語ならば、流れはわかるので、別の作品を借りました。ただ、歴史好きなので、きっと楽しめる作品だとは思います。テレビで放映されたら、録画して観るジャンルでしょうか 笑 

録画映画といえば、かなり昔に録画したまま観ていないブルック・シールズ出演の「プリティ・ベイビー」。舞台は、北米南部仏領だったニューオリンズ。娼館が多かったという歴史から、この映画に辿り着き、一度は観たいと思って録画していたのを思い出しました。「七人の侍」も、遠い昔に録画し、以前、一度見始めましたが、画面が暗く、古過ぎて断念。でも、オルミ監督の初期作品を観て以来、洋を問わず、今はこの時代の製作された映画を観たいと思っています。

Nick

Date2019.07.29 (月) 21:04:06

『ふたりの女王 メアリーとエリザベス』は演劇出身の監督だったらしく、
演劇っぽかったかもしれません。
エリザベスの扮装は『アリス・イン・ワンダーランド』の赤の女王そっくりでした。
というか『アリス・イン・ワンダーランド』がエリザベスの風貌を真似たということなんでしょうが、
歴史に弱いので初めて知りました。

『プリティ・ベビー』は私も観てませんでしたが、ブルック・シールズのイメージだけは頭に残っていて、観ていたような気になってました。ルイ・マル監督の作品でしたね。

まれ

Date2019.08.03 (土) 08:14:08

「女王様のお気に入リ」はアカデミー賞・衣装デザイン賞も受賞してたんですね。ステキな衣装だったからこそ、もっと見たいと思い、その種類の少なさが気になった気がします。予算がない昨今ではありますが、映画の満足度に関わると思うと、美しい衣装も罪ですね 笑

「プリティ・ベイビー」はブルックシールズが少女時代に娼婦を演じたことで話題のアメリカ映画だと思っていましたが、ルイ・マル監督でしたね、すっかり忘れていました。北米の仏領は19世紀初頭、ナポレオン1世が旧大陸での戦費を得るために合衆国に売却したので、旧仏領を訪れない限り、アメリカにフランスを重ねることは少ないですね。マル監督は「さよなら子供たち」の印象が強く、アメリカ在住の時期があったとは知りませんでした。

アメリカの仏領といえば、「女王様のお気に入り」でスペインの王位継承権争いによる北フランスでの戦争が政治の話題となっていましたが、この戦争は旧大陸のみならず、新大陸での英仏間にも影響したので、あの3人のお戯れでどれだけの犠牲者が出たかと考えると、いつの世もですが、血筋がダメでも、手腕のある人がブレーンとなって政を行ってもらいたいものですね。

Nick

Date2019.08.06 (火) 00:20:46

歴史に詳しいですね。
私はまったく苦手なもので……。

「プリティ・ベイビー」はアメリカの話なんですね、知りませんでした。
そう言えば、ルイ・マルは「アトランティック・シティ」とかアメリカを舞台にした作品を撮ってました。
というか、その時期はアメリカに移住していたんですね。

>手腕のある人がブレーンとなって
まったくそうですね。
「女王様のお気に入り」ではあまり感じられませんが、
上の人たちに翻弄される庶民もいたはずですからね。

まれ

Date2019.08.06 (火) 12:06:13

なるほど、ルイ・マル監督=仏人=フランス映画となりますね。舞台はディープサウスであるルイジアナ州ニューオリンズでした。「グリーン・ブック」からの流れで、今頃、「プリティ・ベイビー」に辿り着いたのでした。ストーリー自体、それ程、面白い感じもしない上、録画してあるので、なかなか観る機会がないです 笑 マル監督の「アトランティック・シティ」の方が面白そう・・・。

Nick

Date2019.08.10 (土) 10:40:02

「アトランティック・シティ」はバート・ランカスターとスーザン・サランドンという顔ぶれでした。
今調べるとミシェル・ピコリも出てるみたいだしアメリカ映画っぽくない顔ぶれだったのかもしれませんが、
中身はほとんど覚えてません。

まれ

Date2019.08.14 (水) 08:07:29

「アトランティック・シティ」、あらすじを読み、興味が薄れてしまいました 笑 でも、アメリカ映画っぽくないアメリカ映画と言われると、気になりますね・・・。丁度、アメリカ史が気になりだした頃、西部開拓やゴールドラッシュという単語を懐かしく思っていましたら、新しいブログの最初のレビュー「ゴールデン・リバー」に、フランスを旧大陸と書いていて衝撃を受けました 笑 確かに、アメリカに対し、欧州は旧大陸ですね、この表現、すっかり忘れていました。(先のコメントで早速使わせて頂いました!)フランス監督のアメリカ開拓映画は、アメリカ育ちの監督とは違う景色が見そうで、機会があれば観てみたいと思っています。

Nick

Date2019.08.20 (火) 00:28:38

「アトランティック・シティ」は私もあまり覚えてません。
観ただけで放っておくとすっかり忘れてしまいます。
そんな意味でブログは覚え書きとして役に立つようです。
自分でもこんなことを書いてたのかと思うこともありますし。

欧州はあまり大陸という感じはしませんが、
旧大陸という言い方もしますよね。

まれ

Date2019.10.20 (日) 12:08:27

マイブームであるアメリカの歴史探訪、益々ハマっていまして、先日、「ペンタゴン・ペーパーズ」と「バイス」を観ました。本当は「バイス」より先に「ザ・シークレットマン」を借りるつもりが、誤って「バイス」を借りてしまいました。でも、「バイス」を観て、アメリカという国にへの興味が尽きないと思いました。

昨日、ナンニ・モレッティ監督の最新作「Santiago、Italia」を、内容を調べずに鑑賞しましたら、ピノチェトによるクーデターから逃れ、イタリアに亡命したチリ人達へのインタビュー映画でした。「イルポスティーノ」の詩人もアジェンデ大統領と映像に出ていて、詩人役のフィリップ・ノワレに似ており、懐かしく思いました。が、これも、アメリカの仕業かと思うと、「ペンタゴンペパーパズ」のメディアは国家の統治者ではなく、国家や国民の為に存在する、というようなセリフを思い出し、そして、「バイス」の、全ては国家のため、というのも、ある意味正しく、でも、その為に犠牲になる国民や民族がいることになんの躊躇もない彼らに、「国」という括りの残酷さを感じました。考えてみると、彼らの多くは英国からの移民なんですよね…

Nick

Date2019.11.01 (金) 01:35:57

「ザ・シークレットマン」は「ペンタゴン・ペーパーズ」ともつながる話らしいですね。
情報提供者ディープ・スロートの話だと聞いてますがまだ観てません。

「バイス」も観逃がしてしまいました。評判はいいみたいですね。
>犠牲になる国民や民族がいる
そういうことには無頓着なのか、白人以外は人とも思っていないのかはわかりませんが、
「バイス」はコメディ映画だと聞いてますがちょっと笑えない話ですね。

ナンニ・モレッティ監督の最新作は、題材が縁遠い感じで日本では未公開になりそうですがどうでしょうね。

まれ

Date2019.11.11 (月) 23:53:43

そうなんです。「ペンダゴン・ペーパーズ」のラストがウォーターゲイト事件の前夜だったので、「ザ・シークレットマン」を続けて観れば完璧だったんです_| ̄|○ 「ザ・シークレットマン」のディープ・スロートが情報を渡す相手は76年制作の「大統領の陰謀」の主役の1人、ダスティン・ホフマン演じるポストの若手ジャーナリスト。「ザ・シークレットマン」ではダスティン・ホフマン似の俳優が演じており、こちらの映画を観ていたら、より楽しめたようです。ネット配信で観れる作品なので、近い内に観賞しようと思っています。

「バイス」は一部の人以外には不快感、不信感をもたらす内容なのですが、こんなスキャンダラスな内容でも映画にし、公開が許されるのも、米国の面白いところだと思いました。当時のニュースをリアルタイムに、そして真剣に観ていた人にとっては、「事実は小説より奇なり」だという印象でしょうか。

今は、もう、当時のようなパワー・バランスではないので、今後は”独裁”者・国の好き勝手はできない世界なのだろうと、先日起こったサンティアゴ・チリの市民デモを観て思いました。偶然にも、時を同じく、スペインではフランコ将軍の遺骸を、歴史的建造物から、奥さんが埋葬されている一般墓地へ改葬されていました。歴史的に、新たな局面に入った感じがします。

モレッティ監督作品は、いつも重たい空気が流れている印象です。考えてみると、彼が世に出るきっかけになった「親愛なる日記」は、がん宣告を受けた監督の自叙伝的映画だったのを思い出し、今でも一線で活躍されていることが嬉しく思えました。作品が複雑な人の脳は、間違いなく、多くのシナプスが多様に繋がっているんでしょうね。

「Santiago、Italia」にて、服役中の独裁政権時の軍人がモレッティ監督に、「貴方は偏見を持たないというので、インタビューに答えてる」と通訳を介して言うと、監督がイタリア語で「僕は偏見しか持ってない」とバッサリ。観ている人も溜飲が下がる、モレッティ監督らしい場面でした。

今は翻訳作業がネックなのか、ネット配信にならない海外作品も多いのかもしれませんが、映画の多くは英語字幕があるので、AIによる日本語との翻訳機能が高度化し、作品の輸出入ボーダーが下がるといいですね。母国語ではない映画を観賞し、自分なりに理解していることを考えれば、AI翻訳に少しくらい難があっても、良いのではないかと思います 笑

Nick

Date2019.11.15 (金) 00:38:29

歴史や政治的事件を題材にした作品は勉強になります。
特に普段あまりそうした方面に詳しくない人間としては特に……。
「バイス」の主人公も実在の人物なわけですし、
本人に遠慮会釈もなく製作してしまうのがすごいところですね。

ナンニ・モレッティの作品は恥ずかしながら、
『息子の部屋』しか観たことがありません。
今度レンタル店でほかの作品も探してみようと思います。

日本語字幕をつけることを職業としている人がどれだけいるのかはわかりませんが、
結構同じ名前を見ますから数は少ないのかもしれませんね。
AIの技術で対処できるならそれはいいですね。
直訳だとしても何となく意味は通じるでしょうし。

まれ

Date2019.11.24 (日) 07:22:10

「大統領の陰謀」鑑賞しました。借りたDVDは2枚組で、1枚は2005年にディープ・スロートが判明してから作成した”おまけ”で、俳優やスタッフ、皆さんかなりのご年齢。33年経過し、当時を振り返っている点も興味深かってです。

ロバート・レッドフォードとダスティン・ホフマンが演じる若手ジャーナリスト2人はレッドフォードからの連絡を受け、ウォーターゲート事件より、”彼ら”を主人公にした本を書くよう勧められ、原作の方向性を変えたそうです。「15時17分発、パリ行き」を思い出しました。

映画ではレッドフォードという金髪WASPとホフマンという黒髪ユダヤ系が演じていましたが、実際は2人とも黒髪で、私が「ザ・シークレットマン」でホフマンと思っていた記者はレッドフォード演じる記者でした、すみませんm(__)m 外国人の名前、あまり頭に入らなくて・・・苦笑

レッドフォードは若い頃から社会派映画を好んでいたとは知りませんでした。この映画もレッドフォードが映像権を買い、ワーナーに映画化するよう持ち込んだ為、売れっ子である彼が主人公を演じることを条件に映画化されたそうです。監督がホフマンにリクエストがあるか尋ねると、”レッドフォードよりカッコ良く撮ってくれ”と冗談で言ったとインタビューで言ってましたが、若かりし頃のホフマンもカッコ良かったです。ジャーナリストという職業柄、彼ら自身が演じることもできたのでは?と思いましたが、題材や派手さのない作りでヒットしないことを危惧した配給会社は有名俳優が演じることを強要したんでしょうね。そう考えると、「15時17分、パリ行き」はイーストウッド監督作品じゃなければ、という部分もありますね。一昔前はこの時代の映画は”古臭く”て興味がなかったのですが、今は、当時のお金と時間と技術を動員した豪華さが眼福で、自分の感覚の変化に驚かされます 笑 

町山さんの解説を聴きますと、「ディープ・スロート」というのは、当時、ポルノのハードコアが出始め、話題となった作品のタイトルなんだそうです。どういう意味なのか考え、損しました 笑 町山さんも字幕を担当されているようですね。アメリカ事情通なので、複雑なアメリカ映画は彼の字幕で観たいですね。

先日、トランプ大統領の疑惑が証明されると、ニクソン大統領以来の米国大統領スキャンダルと報道され、この手の映画が立て続けに公開されてるのは、何かキナ臭い感じがしました。日本も、内部からなのか、外からのなのか、現政権の綻びが出だし、なんだかキナ臭いですが・・・笑

翻訳は直訳でも言いたいことの9割はわかるような気がします。予備知識がなかったり、読みが浅くて理解できないのは、邦画も一緒ですしね・・・_| ̄|○

モレッティ監督の「親愛なる日記」、日本語Wikiに記載が無い時点で、あまり人気がない監督みたいですね。次作の「息子の部屋」を鑑賞し、重い作品だったので、以来、この監督作品を観なくなったのを思い出しました 笑 サンチアゴ・チリの市民運動、今日で5週間目というニュースを目にしました。昔なら日本でも話題に上る大きなニュースでも、今は、自然災害を筆頭に、それぞれ自国の話題が豊富過ぎて、影響の少ない海外ニュースは取り上げる余地がなくなっているようですね。久々に「親愛なる日記」のレビューを読み、ローマやシチリア舞台の映画で、なんだか、観たくなりました 笑

Nick

Date2019.12.02 (月) 22:06:06

最近ようやく「ザ・シークレットマン」を観ました。
確かにあの記者役の人はレッドフォードではなくダスティン・ホフマンに似てましたね。
役柄としては違うということなんでしょうが。

「ザ・シークレットマン」は明らかに「大統領の陰謀」を前提にしてるように思えました。
「ザ・シークレットマン」だけだと何が起きているのかわかりづらい感じがしますし。
FBI内部で長官の死をきっかけにいろいろなごたごたがあって、
それが「大統領の陰謀」につながっていったわけですね。

それから「ディープ・スロート」の名前の由来は不思議でしたが、
やはりそこだったんですね。
町山さんの解説はさすがにアメリカでいろいろと調べているようで参考になりますね。
「ディープ・スロート」は有名なポルノ映画ですね。
そちらは未見ですが、
アマンダ・セイフライドが主演した「ラヴレース」という映画は、
その主演女優さんの生涯の話でした。

「大統領の陰謀」も新しいDVDはそんな特典がついているんですね。
製作当時は「ディープ・スロート」がFBIの副長官だとは知られていなかったわけで謎の人物だったわけですね。
FBI内部のごたごたのきっかけとなった長官の死ですが、
イーストウッドが『J・エドガー』でそのFBI長官のエドガー・フーヴァーを描いているみたいですね。
これもまだ観ていないのでチェックしないと……。

まれ

Date2019.12.31 (火) 13:09:56

「大統領の陰謀」を観たので、「ザ・シークレットマン」、もう一度ゆっくり見てみたいと思ってます。火付け役?が「ペンタゴン・ペーパーズ」だったので仕方ないですが、「大統領の陰謀」、「ペンタゴン・ペーパーズ」、「ザ・シークレットマン」の順番ですかね。偶然にも「J・エドガー」を「ザ・シークレットマン」より先に観ていたのはラッキーでした。

イーストウッド監督は事実のみを映像化したというので、ディープ・スロートの密告の原因が、フーバー長官の不適切な長期在任の弊害に繋がっていて、その長期在任の大元が、自分の秘密を知られたくないことからくる他人への執拗な監視だったとするなら、大国アメリカを揺るがしたウォーター・ゲート事件の大元、そこ?という気持ちになりますね 笑 当然、あの時代、多分、今も、重要なポストに就いている政治家にとっては命取りな場合もあり、必死だったのだとは思いますが・・・。

「バイス」もとんでもないお話でしたが、こちらは証人も証拠もないので、アメリカの政治家が寛容というよりは、今やフェイクニュースありきの国で問題視する方がバカを見る感じですね。(一方的な)正義が必ず悪を倒す短絡的なアメリカン・ストーリーが懐かしいくらいです 笑 

一連のジャーナリズム映画を観て、「スポット・ライト」も観ました。町山さんの解説にて、この事件が明るみにならなければ、事件を揉み消していた米国キリスト教会のTOPの高僧が今の教皇の座に就いていただろうと仰っていて、ゾッとしました。「ボストン・グローブ」記者の地道な努力のお陰で、カトリック教会内部もですが、世界的にも穏やかじゃない今、オープン・マインドなフランシスコ教皇が選ばれ、良かったです。フランシスコ教皇について、あまり知りませんでしたが、先ごろ来日されたので、いくつか記事を読み、親しみやすい人格者という印象です。

2019年最後の作品「2人のローマ教皇」のレビュー、拝読しました。ベネディクト教皇をアンソニー・ホプキンスが演じるというのも興味があり、機会があったら観てみたいと思ってます。 

PS:ディープスロート繋がり?の「ラブレース」。当時は一大スキャンダルだったろうと思うと、その役を買って出た女優さんの自伝映画、観てみたいと思いました。いつも貴重な情報、ありがとうございます。

Nick

Date2020.01.09 (木) 20:05:57

まれさんが挙げられているような一連のジャーナリズム映画は、
アメリカでは色々とありますが、日本では少ないですね。
その意味で昨年の「新聞記者」と「i-新聞記者ドキュメント-」は意義深い作品だったのかもしれません。
現在進行形のことを描くと日本では反響が大きそうで、
そういう映画は敬遠されるんでしょうね。

最近になって「バイス」をようやく観ました。
チェイニーはラムズフェルドに「理念は?」なんて聞くと笑われてましたが、
保守政治家というのはそんなものなんでしょうかね。
チェイニーはブッシュ大統領を「お飾り」にして自分で好き勝手をやってましたが、
その目的がよく理解できませんでした。
金なのか権力なのか全能感なのか。
権力が欲しいとあまり願ったことがないので、
権力の魅力がいまひとつつかめませんでした。

フランシスコ教皇は親しみやすそうな方ですね。
ネットフリックスで配信していたヴェンダース監督のドキュメンタリー「ローマ法王フランシスコ」も観たのですが、
環境問題などにも積極的に発言していて、
庶民から人気があるのもわかる気がします。

まれ

Date2020.02.02 (日) 14:29:46

アメリカは大統領選で勝つ為にはフェイクニュースもOKな国になってしまったので、何を描いても真贋がつけられなくなり、悪い方向で”フリー”になったような気がします 笑 日本も「桜を見る会」問題で、それが顕著になった気がして、残念ながら、それが世界の流れなのかと思ったり。日本は自分で判断させない教育だったので、今でも報道を鵜呑みにしがちですが、アメリカとは逆にSNSの登場で、報道のフェイクがバレたり、見過ごされている問題が表面化して、ある意味良い流れのような気もしますが、それを誰かが解決してくれるのか?が問題ですよね・・・苦笑

個人的見解ですが、チェイニーは欲ではなく、本気で米国(=利権のある企業や特権階級)のために色々やったのではないかと思うんですよね。トランプ大統領も、他国は迷惑ですけど、米国に住む米国人にとって、悪くない政策を掲げているように見えます。鎖国してもやっていける国なので、貧困層はバッサリ切り捨て、英国と英国連邦国と手を組んで、なんとかやっていくつもりなのかな?と思ったり 笑 そう考えると、日本が鎖国していたのは、凄いことですよね。今も、あの当時の暮らしなら、できるかもしれませんが・・・。これから、世界はどうなっていくんでしょうね。

Nick

Date2020.02.18 (火) 00:50:22

>日本は自分で判断させない教育
そうなんでしょうね。
海外の授業なんかをテレビで見たりすると、
ディベートだとかとにかく議論させたりするみたいですね。
日本からすると不思議な光景なのですがそうした教育で考える力がつくのかもしれません。

>欲ではなくて、米国(=利権のある企業や特権階級)のために
ですか。確かにチェイニーは米国のある層のためにはなっているのかもしれませんね。
貧困層なんかよりもそっちが盤石になったほうが米国のためになるということでしょうか。
そのあたりはあまりに考え方に違いすぎるのか、チェイニーという人物がよくわかりませんでした。
日本は米国に脅されて開国したのに不思議な気もしますね。
日本は今さら鎖国は無理でしょうね、いろいろと海外に頼っているみたいですし。

まれ

Date2020.03.11 (水) 09:53:45

残念ながら、未曽有の事態で、国民性や国の在り方が露呈する状況になってしまい、海外、特に中国依存の国には厳しく、今後、国としても、個人としても、各々が、どう生きるべきかを真剣に考えなければいけなくなりましたね・・・。先が見えない状況下、どう乗り超えるか、そして、終息後の復興策で、今まで蓄積されてた社会のアンバランスも同時に解消できればと祈るばかりです。

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新作映画(もしくは新作DVD)を中心に、週1本ペースでレビューします。

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