『女王陛下のお気に入り』 王冠を戴く頭には憂鬱が消えることはない
ベネチア国際映画祭では銀獅子賞(審査員大賞)と女優賞(オリヴィア・コールマン)を獲得し、アカデミー賞でも最多の10部門にノミネートされているとのこと。

タイトルにある女王陛下とはアン女王。グレートブリテン王国最初の君主として知られる人物だ。その女王(オリヴィア・コールマン)の寵愛を巡っての女同士の闘いを繰り広げることになるサラ(レイチェル・ワイズ)とアビゲイル(エマ・ストーン)という人物も実在する。
ヨルゴス・ランティモスの過去作品では奇妙なルールが設定されていた。たとえば『ロブスター』のように独身者は動物にされてしまうとか……。この意味不明なルールも、実は現実のある部分のグロテスクな表現となっているのがおもしろいところ。しかし『女王陛下のお気に入り』はランティモスのオリジナル脚本ではないし、史実をネタにしているだけにそうした妙な設定はない。とはいえ観終わった後に嫌な気持ちになるという点では、ランティモスらしさを感じさせる作品となっていたと思う。
アン女王は最高の権力者であり「何でも思いのまま」と思いきやそんなことはなく、痛風に苦しみ精神的にもかなり不安定な状態。政治的な事柄には関心がなく、それを取り仕切っているのがサラ。実は裏ではサラが女王のことを意のままに操っているのだ。というのも、アンとサラは女王と側近以上の関係だから。
そうしたところに現れたのがアビゲイル。彼女は元貴族で、サラの従妹でもあるのだが、父親の借金のカタとして売られ酷い目に遭ってきた。アビゲイルはサラと女王に取り入ることに成功し、次第にサラの位置を狙うようにまでなっていく。

女王の寵愛を巡るサラとアビゲイルの闘いというのがスタートだが、次第に三つ巴の闘いとなっていく。サラ以上の閨房術で女王を悦ばせてくれるアビゲイルが新たに女王の寵愛を受けることになるのだが、これはサラに嫉妬を抱かせる女王の作戦でもあるのだ。
地獄から這い上がってきたアビゲイルは、貴族に戻るために政治家たちを巻き込んだ策略を巡らせる。それによって追い落とされることになったサラは、毒を盛られ瀕死の傷を負い、アビゲイルと同じような地獄を見ることになる。
結局、女王は戦費のためと偽って私腹を肥やしていたサラを追い出し、アビゲイルを選ぶことに。しかし、そのことでアン女王が幸せになったかと言えばそんなことはない。女王は17人の子どもを妊娠しつつも、その子どものすべてを亡くしてしまうという不幸もあり、常に憂鬱さを抱えていて、子ども代わりのウサギを可愛がる日々だった。アビゲイルは女王に取り入るためにウサギにもやさしくしているけれど、実際にはそれは手段でしかない。女王はアビゲイルがそのウサギをこっそり踏みつける様子を見てしまう。女王の寵愛を巡る闘いとはいえ、アビゲイルが欲しているのは女王の持つ権力でしかないのだ。
一方で追放されたサラは、女王の幼なじみでもあり、女王を利用していたとはいえ正直な部分もあったのだ。それを失った女王の憂鬱はさらに増すほかないというのがラストシーンだったのだろう。サラもアビゲイルも地獄を味わい、女王もまた地獄のような憂鬱のなかにいる。最高の権力者がそうだとすれば、ほかの人間は言わずもがな。やはり嫌な気持ちになる作品だった。まあ、宮殿のなかの男たちは裸になってはしゃいでいたりもして能天気にも見えたけれど……。
国家の一大事である戦争が、実は女王とふたりの女性の閨房での争いによって決まっているというのでは、振り回される民衆のほうはたまったものではないだろう。アビゲイルは娼婦から抜け出して貴族に戻ったものの、結婚初夜もそっちに興味はないらしい。旦那も女王も利用する対象なのだが、結局は娼婦と同じように性的な奉仕作業に従事しているというのが何とも皮肉な話だった。
舞台となる宮殿はハットフィールド・ハウスという本物の宮殿とのこと。すべてが自然光だけで撮られていて、フェルメールの絵画みたいな場面もあったりするし、宮殿の内部を垣間見られるだけでも価値がありそう。多用される魚眼レンズは周囲がひん曲がるほど極端な画面を生み出していて、その意図はわかりかねるが異世界にいる気分にはなる。
![]() |

- 関連記事
-
- 『ファースト・マン』 月までの推進力
- 『女王陛下のお気に入り』 王冠を戴く頭には憂鬱が消えることはない
- 『アクアマン』 見た目はヒールなヒーロー
この記事へのコメント:
まれ
Date2019.02.20 (水) 02:15:48
Nick
Date2019.02.23 (土) 00:09:13
この作品のほうがとっつきやすいかもしれませんね。
まれ
Date2019.02.23 (土) 08:30:22
Nick
Date2019.02.24 (日) 17:33:16
まれ
Date2019.07.07 (日) 11:17:10
ボーナストラックのインタビューにて、魚眼レンズでの撮影は、隅々まで完璧なセットすべてを映り込ませたかったと、監督が仰っていました。それに反して、髪の毛などは一糸乱れぬ方が違和感があるので、わざと乱したり、長身の俳優によりヒールが高い靴を履かせたりという、背景の完璧さと人間臭さや滑稽さが、この映画での監督のこだわりのようでした。実在の宮殿にて自然光を使っての撮影は本当に美しい映像だと思いましたが、予算の都合なのか衣装のバラエティが少なかったのが少し残念でした。宮廷映画は豪華絢爛な衣装も楽しみの1つだったりするんですよね 笑
Nick
Date2019.07.13 (土) 11:19:24
サラとアビゲイルの戦いは確かに男らしくて清々しい感じでしたね。
アン女王はともかくとして。
そして男はほとんど添え物で、
化粧が濃すぎて道化みたいにすら見えました。
同じ時期に『ふたりの女王 メアリーとエリザベス』という作品もあったのですが、
こちらはもっと昔の時代の話でした。
あまりノレなくてレビューは書きませんでしたが……。
こちらも宮廷映画と言えばそうなのですが、
スコットランド女王のメアリーはほとんど洞窟みたいな場所に居たりして、
豪華絢爛な衣装とはほど遠い感じでした。
エリザベスの風貌は「アリス・イン・ワンダーランド」のヘレナ・ボナム=カーターのようで凄かったです。
というよりも「アリス・イン・ワンダーランド」がエリザベスを意識したんでしょうね。
それから突然ですがブログを移転することにしました。
こちらのブログはそのまま残しますが、
新しいほうで代わり映えもなく引き続き映画レビューを書くつもりです。
お時間があればそちらも覗いてみてください。
まれ
Date2019.07.24 (水) 10:08:57
録画映画といえば、かなり昔に録画したまま観ていないブルック・シールズ出演の「プリティ・ベイビー」。舞台は、北米南部仏領だったニューオリンズ。娼館が多かったという歴史から、この映画に辿り着き、一度は観たいと思って録画していたのを思い出しました。「七人の侍」も、遠い昔に録画し、以前、一度見始めましたが、画面が暗く、古過ぎて断念。でも、オルミ監督の初期作品を観て以来、洋を問わず、今はこの時代の製作された映画を観たいと思っています。
Nick
Date2019.07.29 (月) 21:04:06
演劇っぽかったかもしれません。
エリザベスの扮装は『アリス・イン・ワンダーランド』の赤の女王そっくりでした。
というか『アリス・イン・ワンダーランド』がエリザベスの風貌を真似たということなんでしょうが、
歴史に弱いので初めて知りました。
『プリティ・ベビー』は私も観てませんでしたが、ブルック・シールズのイメージだけは頭に残っていて、観ていたような気になってました。ルイ・マル監督の作品でしたね。
まれ
Date2019.08.03 (土) 08:14:08
「プリティ・ベイビー」はブルックシールズが少女時代に娼婦を演じたことで話題のアメリカ映画だと思っていましたが、ルイ・マル監督でしたね、すっかり忘れていました。北米の仏領は19世紀初頭、ナポレオン1世が旧大陸での戦費を得るために合衆国に売却したので、旧仏領を訪れない限り、アメリカにフランスを重ねることは少ないですね。マル監督は「さよなら子供たち」の印象が強く、アメリカ在住の時期があったとは知りませんでした。
アメリカの仏領といえば、「女王様のお気に入り」でスペインの王位継承権争いによる北フランスでの戦争が政治の話題となっていましたが、この戦争は旧大陸のみならず、新大陸での英仏間にも影響したので、あの3人のお戯れでどれだけの犠牲者が出たかと考えると、いつの世もですが、血筋がダメでも、手腕のある人がブレーンとなって政を行ってもらいたいものですね。
Nick
Date2019.08.06 (火) 00:20:46
私はまったく苦手なもので……。
「プリティ・ベイビー」はアメリカの話なんですね、知りませんでした。
そう言えば、ルイ・マルは「アトランティック・シティ」とかアメリカを舞台にした作品を撮ってました。
というか、その時期はアメリカに移住していたんですね。
>手腕のある人がブレーンとなって
まったくそうですね。
「女王様のお気に入り」ではあまり感じられませんが、
上の人たちに翻弄される庶民もいたはずですからね。
まれ
Date2019.08.06 (火) 12:06:13
Nick
Date2019.08.10 (土) 10:40:02
今調べるとミシェル・ピコリも出てるみたいだしアメリカ映画っぽくない顔ぶれだったのかもしれませんが、
中身はほとんど覚えてません。
まれ
Date2019.08.14 (水) 08:07:29
Nick
Date2019.08.20 (火) 00:28:38
観ただけで放っておくとすっかり忘れてしまいます。
そんな意味でブログは覚え書きとして役に立つようです。
自分でもこんなことを書いてたのかと思うこともありますし。
欧州はあまり大陸という感じはしませんが、
旧大陸という言い方もしますよね。
まれ
Date2019.10.20 (日) 12:08:27
昨日、ナンニ・モレッティ監督の最新作「Santiago、Italia」を、内容を調べずに鑑賞しましたら、ピノチェトによるクーデターから逃れ、イタリアに亡命したチリ人達へのインタビュー映画でした。「イルポスティーノ」の詩人もアジェンデ大統領と映像に出ていて、詩人役のフィリップ・ノワレに似ており、懐かしく思いました。が、これも、アメリカの仕業かと思うと、「ペンタゴンペパーパズ」のメディアは国家の統治者ではなく、国家や国民の為に存在する、というようなセリフを思い出し、そして、「バイス」の、全ては国家のため、というのも、ある意味正しく、でも、その為に犠牲になる国民や民族がいることになんの躊躇もない彼らに、「国」という括りの残酷さを感じました。考えてみると、彼らの多くは英国からの移民なんですよね…
Nick
Date2019.11.01 (金) 01:35:57
情報提供者ディープ・スロートの話だと聞いてますがまだ観てません。
「バイス」も観逃がしてしまいました。評判はいいみたいですね。
>犠牲になる国民や民族がいる
そういうことには無頓着なのか、白人以外は人とも思っていないのかはわかりませんが、
「バイス」はコメディ映画だと聞いてますがちょっと笑えない話ですね。
ナンニ・モレッティ監督の最新作は、題材が縁遠い感じで日本では未公開になりそうですがどうでしょうね。
まれ
Date2019.11.11 (月) 23:53:43
「バイス」は一部の人以外には不快感、不信感をもたらす内容なのですが、こんなスキャンダラスな内容でも映画にし、公開が許されるのも、米国の面白いところだと思いました。当時のニュースをリアルタイムに、そして真剣に観ていた人にとっては、「事実は小説より奇なり」だという印象でしょうか。
今は、もう、当時のようなパワー・バランスではないので、今後は”独裁”者・国の好き勝手はできない世界なのだろうと、先日起こったサンティアゴ・チリの市民デモを観て思いました。偶然にも、時を同じく、スペインではフランコ将軍の遺骸を、歴史的建造物から、奥さんが埋葬されている一般墓地へ改葬されていました。歴史的に、新たな局面に入った感じがします。
モレッティ監督作品は、いつも重たい空気が流れている印象です。考えてみると、彼が世に出るきっかけになった「親愛なる日記」は、がん宣告を受けた監督の自叙伝的映画だったのを思い出し、今でも一線で活躍されていることが嬉しく思えました。作品が複雑な人の脳は、間違いなく、多くのシナプスが多様に繋がっているんでしょうね。
「Santiago、Italia」にて、服役中の独裁政権時の軍人がモレッティ監督に、「貴方は偏見を持たないというので、インタビューに答えてる」と通訳を介して言うと、監督がイタリア語で「僕は偏見しか持ってない」とバッサリ。観ている人も溜飲が下がる、モレッティ監督らしい場面でした。
今は翻訳作業がネックなのか、ネット配信にならない海外作品も多いのかもしれませんが、映画の多くは英語字幕があるので、AIによる日本語との翻訳機能が高度化し、作品の輸出入ボーダーが下がるといいですね。母国語ではない映画を観賞し、自分なりに理解していることを考えれば、AI翻訳に少しくらい難があっても、良いのではないかと思います 笑
Nick
Date2019.11.15 (金) 00:38:29
特に普段あまりそうした方面に詳しくない人間としては特に……。
「バイス」の主人公も実在の人物なわけですし、
本人に遠慮会釈もなく製作してしまうのがすごいところですね。
ナンニ・モレッティの作品は恥ずかしながら、
『息子の部屋』しか観たことがありません。
今度レンタル店でほかの作品も探してみようと思います。
日本語字幕をつけることを職業としている人がどれだけいるのかはわかりませんが、
結構同じ名前を見ますから数は少ないのかもしれませんね。
AIの技術で対処できるならそれはいいですね。
直訳だとしても何となく意味は通じるでしょうし。
まれ
Date2019.11.24 (日) 07:22:10
ロバート・レッドフォードとダスティン・ホフマンが演じる若手ジャーナリスト2人はレッドフォードからの連絡を受け、ウォーターゲート事件より、”彼ら”を主人公にした本を書くよう勧められ、原作の方向性を変えたそうです。「15時17分発、パリ行き」を思い出しました。
映画ではレッドフォードという金髪WASPとホフマンという黒髪ユダヤ系が演じていましたが、実際は2人とも黒髪で、私が「ザ・シークレットマン」でホフマンと思っていた記者はレッドフォード演じる記者でした、すみませんm(__)m 外国人の名前、あまり頭に入らなくて・・・苦笑
レッドフォードは若い頃から社会派映画を好んでいたとは知りませんでした。この映画もレッドフォードが映像権を買い、ワーナーに映画化するよう持ち込んだ為、売れっ子である彼が主人公を演じることを条件に映画化されたそうです。監督がホフマンにリクエストがあるか尋ねると、”レッドフォードよりカッコ良く撮ってくれ”と冗談で言ったとインタビューで言ってましたが、若かりし頃のホフマンもカッコ良かったです。ジャーナリストという職業柄、彼ら自身が演じることもできたのでは?と思いましたが、題材や派手さのない作りでヒットしないことを危惧した配給会社は有名俳優が演じることを強要したんでしょうね。そう考えると、「15時17分、パリ行き」はイーストウッド監督作品じゃなければ、という部分もありますね。一昔前はこの時代の映画は”古臭く”て興味がなかったのですが、今は、当時のお金と時間と技術を動員した豪華さが眼福で、自分の感覚の変化に驚かされます 笑
町山さんの解説を聴きますと、「ディープ・スロート」というのは、当時、ポルノのハードコアが出始め、話題となった作品のタイトルなんだそうです。どういう意味なのか考え、損しました 笑 町山さんも字幕を担当されているようですね。アメリカ事情通なので、複雑なアメリカ映画は彼の字幕で観たいですね。
先日、トランプ大統領の疑惑が証明されると、ニクソン大統領以来の米国大統領スキャンダルと報道され、この手の映画が立て続けに公開されてるのは、何かキナ臭い感じがしました。日本も、内部からなのか、外からのなのか、現政権の綻びが出だし、なんだかキナ臭いですが・・・笑
翻訳は直訳でも言いたいことの9割はわかるような気がします。予備知識がなかったり、読みが浅くて理解できないのは、邦画も一緒ですしね・・・_| ̄|○
モレッティ監督の「親愛なる日記」、日本語Wikiに記載が無い時点で、あまり人気がない監督みたいですね。次作の「息子の部屋」を鑑賞し、重い作品だったので、以来、この監督作品を観なくなったのを思い出しました 笑 サンチアゴ・チリの市民運動、今日で5週間目というニュースを目にしました。昔なら日本でも話題に上る大きなニュースでも、今は、自然災害を筆頭に、それぞれ自国の話題が豊富過ぎて、影響の少ない海外ニュースは取り上げる余地がなくなっているようですね。久々に「親愛なる日記」のレビューを読み、ローマやシチリア舞台の映画で、なんだか、観たくなりました 笑
Nick
Date2019.12.02 (月) 22:06:06
確かにあの記者役の人はレッドフォードではなくダスティン・ホフマンに似てましたね。
役柄としては違うということなんでしょうが。
「ザ・シークレットマン」は明らかに「大統領の陰謀」を前提にしてるように思えました。
「ザ・シークレットマン」だけだと何が起きているのかわかりづらい感じがしますし。
FBI内部で長官の死をきっかけにいろいろなごたごたがあって、
それが「大統領の陰謀」につながっていったわけですね。
それから「ディープ・スロート」の名前の由来は不思議でしたが、
やはりそこだったんですね。
町山さんの解説はさすがにアメリカでいろいろと調べているようで参考になりますね。
「ディープ・スロート」は有名なポルノ映画ですね。
そちらは未見ですが、
アマンダ・セイフライドが主演した「ラヴレース」という映画は、
その主演女優さんの生涯の話でした。
「大統領の陰謀」も新しいDVDはそんな特典がついているんですね。
製作当時は「ディープ・スロート」がFBIの副長官だとは知られていなかったわけで謎の人物だったわけですね。
FBI内部のごたごたのきっかけとなった長官の死ですが、
イーストウッドが『J・エドガー』でそのFBI長官のエドガー・フーヴァーを描いているみたいですね。
これもまだ観ていないのでチェックしないと……。
まれ
Date2019.12.31 (火) 13:09:56
イーストウッド監督は事実のみを映像化したというので、ディープ・スロートの密告の原因が、フーバー長官の不適切な長期在任の弊害に繋がっていて、その長期在任の大元が、自分の秘密を知られたくないことからくる他人への執拗な監視だったとするなら、大国アメリカを揺るがしたウォーター・ゲート事件の大元、そこ?という気持ちになりますね 笑 当然、あの時代、多分、今も、重要なポストに就いている政治家にとっては命取りな場合もあり、必死だったのだとは思いますが・・・。
「バイス」もとんでもないお話でしたが、こちらは証人も証拠もないので、アメリカの政治家が寛容というよりは、今やフェイクニュースありきの国で問題視する方がバカを見る感じですね。(一方的な)正義が必ず悪を倒す短絡的なアメリカン・ストーリーが懐かしいくらいです 笑
一連のジャーナリズム映画を観て、「スポット・ライト」も観ました。町山さんの解説にて、この事件が明るみにならなければ、事件を揉み消していた米国キリスト教会のTOPの高僧が今の教皇の座に就いていただろうと仰っていて、ゾッとしました。「ボストン・グローブ」記者の地道な努力のお陰で、カトリック教会内部もですが、世界的にも穏やかじゃない今、オープン・マインドなフランシスコ教皇が選ばれ、良かったです。フランシスコ教皇について、あまり知りませんでしたが、先ごろ来日されたので、いくつか記事を読み、親しみやすい人格者という印象です。
2019年最後の作品「2人のローマ教皇」のレビュー、拝読しました。ベネディクト教皇をアンソニー・ホプキンスが演じるというのも興味があり、機会があったら観てみたいと思ってます。
PS:ディープスロート繋がり?の「ラブレース」。当時は一大スキャンダルだったろうと思うと、その役を買って出た女優さんの自伝映画、観てみたいと思いました。いつも貴重な情報、ありがとうございます。
Nick
Date2020.01.09 (木) 20:05:57
アメリカでは色々とありますが、日本では少ないですね。
その意味で昨年の「新聞記者」と「i-新聞記者ドキュメント-」は意義深い作品だったのかもしれません。
現在進行形のことを描くと日本では反響が大きそうで、
そういう映画は敬遠されるんでしょうね。
最近になって「バイス」をようやく観ました。
チェイニーはラムズフェルドに「理念は?」なんて聞くと笑われてましたが、
保守政治家というのはそんなものなんでしょうかね。
チェイニーはブッシュ大統領を「お飾り」にして自分で好き勝手をやってましたが、
その目的がよく理解できませんでした。
金なのか権力なのか全能感なのか。
権力が欲しいとあまり願ったことがないので、
権力の魅力がいまひとつつかめませんでした。
フランシスコ教皇は親しみやすそうな方ですね。
ネットフリックスで配信していたヴェンダース監督のドキュメンタリー「ローマ法王フランシスコ」も観たのですが、
環境問題などにも積極的に発言していて、
庶民から人気があるのもわかる気がします。
まれ
Date2020.02.02 (日) 14:29:46
個人的見解ですが、チェイニーは欲ではなく、本気で米国(=利権のある企業や特権階級)のために色々やったのではないかと思うんですよね。トランプ大統領も、他国は迷惑ですけど、米国に住む米国人にとって、悪くない政策を掲げているように見えます。鎖国してもやっていける国なので、貧困層はバッサリ切り捨て、英国と英国連邦国と手を組んで、なんとかやっていくつもりなのかな?と思ったり 笑 そう考えると、日本が鎖国していたのは、凄いことですよね。今も、あの当時の暮らしなら、できるかもしれませんが・・・。これから、世界はどうなっていくんでしょうね。
Nick
Date2020.02.18 (火) 00:50:22
そうなんでしょうね。
海外の授業なんかをテレビで見たりすると、
ディベートだとかとにかく議論させたりするみたいですね。
日本からすると不思議な光景なのですがそうした教育で考える力がつくのかもしれません。
>欲ではなくて、米国(=利権のある企業や特権階級)のために
ですか。確かにチェイニーは米国のある層のためにはなっているのかもしれませんね。
貧困層なんかよりもそっちが盤石になったほうが米国のためになるということでしょうか。
そのあたりはあまりに考え方に違いすぎるのか、チェイニーという人物がよくわかりませんでした。
日本は米国に脅されて開国したのに不思議な気もしますね。
日本は今さら鎖国は無理でしょうね、いろいろと海外に頼っているみたいですし。
まれ
Date2020.03.11 (水) 09:53:45
まれ
Date2020.07.05 (日) 23:57:25
伝統的な歴史物語とばかり思っていたので、『女王陛下のお気に入り』より現代的で(男色や有色人種の臣下の存在)、度肝を抜かれました‼ 全体的に暗い印象ですがセンスがあり、室内劇は舞台を想起するようなシンプルな空間での撮影で舞台監督というのも納得のでした。同じく衣装もシンプルで品があり、『女王陛下』の手が込んだ豪華さはありませんでしたが、”わびさび”的な優雅さが素敵でした 笑
エリザベスの『アリス・イン・ワンダーランド』の女王似というのが良くわかりました 笑 この映画は『アバター』の3Dに感動し、わざわざ3Dで鑑賞しました。でも、画面が賑やかで遠近を付けづらかったのか、立体度が中途半端で、他の要素に全然目がいってませんでしたが、確かにヘレナ・ボナム・カーター女王は”滑稽”でしたね 笑 彼女は貴族なので、どんな役も痛く見えないのがいいですよね
『ふたりの女王』、面白かったです。最初、エリザベスの寵臣ロバートとマリーの配王ヘンリーの見分けがつかなくて(笑)、エリザベスの寵臣をマリーの夫に差出し、最終的に斬首されたマリーとの子孫が英国王室を継承し続けていたなら、エリザベス、策士!と思いきや、別人でした。でも、配王もスチュアート家の血筋なので、すったもんだ劇があったものの、エリザベスの采配もあり、結果、”正当な血筋”が今も綿々と継承され、エリザベス1,2世、ヴィクトリア女王時代が長く繁栄している点でも、女性が統治した方が、多分、争いを好まないお陰で国が安定するのかもしれませんね。
先日、コロナ禍ではドイツやニュージーランドのように女性首相の国の方が上手に乗り切っていると言っていたのも、子を産む女性性が社会的な安定・安全を最優先するのかなも?と思いました(百合子都知事も、私は悪くないと思ってます 笑)。有色人種が宮廷に存在していたのは絵画等でも観たことがあります。流石に幕臣や側近として重用されていたのかは、荒唐無稽系な(笑)監督らしい気がしました。
Nick
Date2020.07.14 (火) 22:03:46
フィクションみたいですね。
そんなことがあれば良かったという思いが込められているように感じました。
『ふたりの女王』は歴史にまったく不案内だからかそれほど楽しめませんでした。
詳しい人が観ると色々と登場人物の背景なんかもわかるから理解しやすいんでしょうね。
この映画の監督も舞台出身の女性のようですね。
最近はあちこちで女性監督の活躍が目立つようになってきたような気もします。
ヘレナ・ボナム・カーターは貴族でしたか。
言われてみれば気品がある顔立ちのような気がしてきました。
『アリス・イン・ワンダーランド』のメイクは悪ノリが酷かったですが……。
ヘレナ・ボナム・カーターの出演作では『鳩の翼』がとてもよかったように記憶してます。
よかったという記憶だけでどんな話だったかは思い出せませんが。
女性首相の国がうまくコロナを乗り切っているというのはその通りかもしれませんね。
日本は経済を回す方向に舵を切ったみたいで、
東京なんかは第二波っぽい感染者数にも見えますが、
そのまま現状を維持しそうな雰囲気です。
まれ
Date2020.07.20 (月) 02:05:55
たまたま続けて観た映画、仰る通り、女性監督作品でした!原作、主人公、監督と女性の感性(それが何かはわかりませんが・笑)が求められる時代になったのかもしれませんね。Nickさん、流石、多くの作品を鑑賞していらっしゃいます!
ヘレナ・ボナム=カーター、貴族出身と記憶していましたが調べてみると母親が女男爵の爵位を得、母親の兄(叔父)が伯爵ということで貴族家系出身ではあっても、本人は爵位を継いでおらず、銀行、政治家家系の”お嬢様”ということで、お嬢様=貴族的な見方だったのかもしれません。『眺めのいい部屋』のお嬢様から『猿の惑星』の猿への転換は衝撃でした・笑 その後は『英国王のスピーチ』の妻役で観た程度でしたが、あのティム・バートンと公私共にタッグを組んでいたとは。だから特殊メイク役がどんどん過激化していったんですね・笑
『鳩の翼』は観たことがなく、調べたところ、原作の作者、聞いたことのある名前だと思いましたら学生時代学んだ『ねじの回転』のヘンリー・ジェイムズでした!となると、面白そうな作品ですね。薄ければ本を(笑)、厚ければ映画を観てみたいです。それと『アリス・イン・ワンダーランド/時間の旅』も観てみたいです。
東京都のコロナ対策は悪くないと思いますが、Go Toキャンペーンの東京外しが政府VS都知事だったとしたら、口が達者な女性は敵を作ってしまうので、協調路線に舵を取って、都民にツケが回らないようにして欲しいですね・笑
Nick
Date2020.07.28 (火) 00:42:59
メイクの過激化もふたりの関係があればこそなんでしょうかね。
『アリス・イン・ワンダーランド/時間の旅』でも組んでますが、
この作品が別れた後なのかどうかはよくわかりません。
ヘンリー・ジェイムズはやはり『ねじの回転』しか読んでいません。
しかも学生のころに読んだときは、その怖さがまったく理解できませんでした。
心理的な怖さだったからでしょうか。
ちょっと前に読んでようやくわかった気になりました。
映画の『回転』という作品もゾクっとさせられるところがありました。
Go To トラベルに関する「すったもんだ」は、
国と都知事の関係が透けて見えるような気がしますよね。
「よーくお考えになられたほうが」という記者会見が、
誰かを怒らせたのかと思ってしまいました。
とはいえ誰もがそう思ってたわけですから、
国民の声を代弁したせいなのかもしれませんが。
まれ
Date2020.08.01 (土) 23:11:02
『鳩の翼』、鑑賞しました。なんと舞台はヴェネチア‼ 先日『The Young/New Pope』で美しいヴェネチアを見ましたけれど、物語は20世紀初頭、瀟洒な邸宅内も含め、全体的に薄暗く、ソレンティーノ作品の豪華さとは随分違いました(それでも、特別で美しい街ではありますが)。撮影当時も欧州は斜陽な頃で、外壁も汚れたまま。そこにリアリティを感じました。あの時代が舞台の映画を観たことがなかったので、衣装がとても素敵で、楽しめました。
最初はが”死期が近いミリーに最後の恋をさせてあげたい”というケイトの優しい気持ちかと思ってましたが、財産狙いだったとは恐るべき主人公。でも、マートンへの愛の方が強く、マートンもまたミリーの無垢な優しさに惹かれたような・・・。『ねじの回転』もなんだか怖い作品だったのと、Nickさんのおすすめなので、この映画も面白いと思ってました。ジョイスは心理学者でもあり、原作は上下巻の900ページととんでもなく厚い本。ヴェネチアや当時の衣装、大雑把な流れは映画で良かったと思いましたが、心理描写がメインなら本の方がより面白いのではないかと。そして複雑な心理描写というと谷崎潤一郎の『鍵』を思い出しました 笑
ヘレナ・ボナム=カーター、おもいっきり脱いでおり、”貴族出身”が肩書になる理由もわかったような・笑 『ストーリー・マイ・ライフ』でも『レディー・バード』でも思いましたが、貧しいと描かれても、それなりの家や衣服を持ち、食べ物に困っていない点で貧しいって・・・と。上流階級では同じレベルが維持できない、米国では大きな家に住めないが貧困なのは、江戸の長屋生活や日本のウサギ小屋ベースとは感覚に大きな差がありますね。庶民生活を記述できる人が欧米にはいなかったという日本の高い識字率に繋がることかもしれませんね。
Nick
Date2020.08.09 (日) 00:04:19
ウィキペディアには「アラビア語通訳者」とか書いてありますね。
今さらながら驚きました。
ニュースキャスター時代はぼんやりと覚えてますが、
全然知りませんでした。
「男に二言はない」とか言いますが、
ダメだったら前言撤回したほうがいいですね。
日本は一度動き出すと途中で止められないという現象があるようにも感じます。
『鳩の翼』はそんな話でしたか。
すっかり忘れてましたが、
ヴェネチアでゴンドラに乗る場面はあったような気がします。
自分で薦めておきながら中身はまったく残ってないというのも変ですが、
良かったという部分だけ残ってました。
ヘレナ・ボナム=カーターのヌードばかりが印象に残っていたわけではないとは思いますが。
それにしても『鳩の翼』の本はそんなに長編なんですね。
映画版はだいぶ省略されているんでしょうね。
『鍵』は谷崎の後期の作品ですね。
もうだいぶ年齢がいったときの作品なのに、
谷崎潤一郎の変態らしさが出てましたね。
貧しさというのも人それぞれなんでしょうね。
ウサギ小屋に住んでいれば、
豪邸なんかは夢のまた夢ですが、
豪邸に住んでいる人にとっては、
別荘を売り払うことになることが落ちぶれることに感じたりするのかもしれませんね。
日本はみんなウサギ小屋だからあまりそれを意識しませんが、
海外からするとよく我慢できるなという代物なのかもしれません。
まれ
Date2020.09.01 (火) 21:44:43
『鳩の翼』、『The New Pope』鑑賞直後だったので、ついついヴェネチアの風景や見慣れない衣装に注目しましたが、物語は心理戦で、登場人物の予想外の言動や心の動きが秀逸な作品だと思いました。なので、印象深い作品だったと思います。ヘレナのヌードは特に印象深くなかったのでご安心下さい 笑
推測ですが、ウサギ小屋発言は、まさに”大きい”持ち家が成功者の証である米国人だったかもしれないですね。欧州諸国は領土が狭いので、特に都会では、よほどのお金持ち以外は日本と似たり寄ったりな住宅事情だと思います。
そこで、サブ・プライムローンが気になり、Nickさんが書かれいた『マネー・ショート 華麗なる大逆転』を鑑賞しました。実体のないモノを、ホログラムのような幻を見せて市場取引させ、その手数料でボロ儲けできるシステムを構築し、実際にぼろ儲けをしていた事実に驚かされました。発覚後、不正な金融商品の取引は禁止されましたが、字幕にて、現在も同じモノが名前を変え、市場に出ているというラスト。便利さに隠された危険を考えさせられますね。対抗策は、もう、物々交換ですかね笑 近・現代は、進化におけるトライ&エラーのエラーの時代なのかと思ったりしました。
Nick
Date2020.09.19 (土) 14:10:45
イギリスの住宅なんて隣と接して作られているのは土地がもったいないからですかね。
中庭はあるんでしょうが、
あまり広いイメージではないですね。
エラーの時代だとすると今の人は割を食っているのかもしれませんね。
柄谷行人という人の本に、
資本主義の歴史的段階を示したものがありました。
それによれば「資本」は「商業資本」→「産業資本」→「金融資本」などと発展し、
「商品と生産形態」は「繊維工業」→「軽工業」→「重工業」→「耐久商品」→「情報」と発展しているのだとか。
これによると実体のあるモノから、次第に虚像というか幻のようなものが商品になっているようにも感じます。
そんな実体のない商品だから手を替え品を替えて別のモノが出てくることになるんでしょうね。
まれ
Date2020.11.03 (火) 23:50:19
『鬼滅の刃』が空前のヒットを飛ばしてますが、社会学者の宮台真治氏の解説では、鬼は利己的な現代人とのことで、目から鱗でした。氏は何年も前から、グローバル化や自由主義の社会に明るい未来はないと仰っていたらしく、確かに利己的な人間ばかりが台頭する社会は、幸せを感じる層が薄く、全体的に明るくはないですね 苦笑 『鬼滅の刃』、私は観てませんが、コロナ禍を通し、その辺も感じ取っての人気だとしたら、未来は氏がいう程、暗いわけじゃないと思えました。
未来といえば・・・『TENET』、鑑賞しました~ 当然ながら、Nickさんのレビューも、心置きなく拝読 m(__)m わからなくて当然と思って観たので、スケールの大きいチャレンジ的な娯楽映画として楽しめました。制作陣も、ストーリー理解というより、見たことのない世界を提案することが狙いだったのかもと思ったり。もちろん、何度も観直し、パズルを一つづつはめる楽しさもあるとは思いますが、全てを理解するにはコンセプトを共有しないと難しい点があると思え、でも、こういう未知の世界とはいえ、未来でも宇宙でもなく、想像しやすい現代を舞台に新しい現象を映像化した点、面白い作品だと思いました。
監督は『メメント』を制作した時点で、『TENET』の構想があったそうなので、時間への尽きない興味の具現化なのかもしれませんね。Nickさんのお陰で、『メメント』を観ていたので、何か理解の助けになったかもしれません、感謝ですm(__)m
『TENET』の、未来から過去に戻る=確定している未来設定に、映画『メッセージ』を彷彿しました。宮台氏も『TENET』の解説で、同じことを言ってました。
ここ数年、未来は、実は未知で不確かと思わされているけれど、『メッセージ』やノーラン作品のように、既に確定しているのではないかと思ったりしていました。『メッセージ』は、まさにそれを描いており、とても印象深かったので原作も読みました。
宮台氏は『鬼滅の刃』の解説にて、多くの人は、より良き未来を得る為に右往左往しているけれど、どう動いても未来は変わらないとしたら、人は利己的な行動はせず(=ムダな努力はせず)、持ってる力を他人の為に使うことを考えるのではないか?とギリシャ思想まで遡ってまして、妙に納得させられました。
世の中、何が功を奏するかわからず、もうダメと思って諦め、ある種、腹を括ると、意外に物事が好転したり、その逆もあったり。確定とまではいかなくても、自分1人で物事は動かないことを考えると、未来を慮るのはムダが多い気がしたりします。将来を見据えて進路を決め、その進路に進めた人は、未来に合わせて過去を操作したともいえ、そう考えると、時間は一方方向へ直進ではないと思えたり。ノーラン監督も、そんな思いがどこかにあるのかもしれないと思いました。いずれにしても、制作陣が試行錯誤を重ね、俳優陣も、その実現を目指したのが伝わる作品でもあった気がします。
ジョン・デヴィッド・ワシントン、いい味出してましたね。何度も観直した映画といえば、デンゼル・ワシントンの『デジャヴ』です。テレビで流れ、途中から何気なく観てましたが、後半に進むにつれ、あれ?の連発でした。観終わって、最初から観直したいと思いつつ、ネット配信のない時代。その数年後、またテレビで放映されたので、録画しながら鑑賞し、その後、直ぐに観直し、辻褄が合い、スッキリ 笑 このレベルの映画なら、観直しで理解できますが、『TENET』は素人にはムリですね 笑 ソフトが出たら・・・否、テレビ放映されたら録画してかな 笑
オマケ情報(笑):長年PCの待ち受けにしている大好きな場所、南イタリアはアマルフィ海岸を眼下に見下ろすRavelloという町のVilla Cimbrone(チンブローネ邸)の庭園先にある彫刻が並ぶテラス、『TENET』で突然現れ、大興奮‼ 空撮による、通常では見られないアングルからのテラスにも感動しました~
Nick
Date2020.11.12 (木) 20:50:44
ネットフリックスでもやっていたので。
その最後は映画版に直結するので、
映画を観たくなる気持ちはわかります。
個人的には炭治郎と善逸と伊之助という三人が揃ってからが楽しかったです。
単純にギャグっぽいところが。
子供たちに人気なのはそこらへんなのかもしれませんね。
『TENET』ご覧になりましたか。
あれだけわからないとか言われたらかえって気になるかもしれません。
確かに「見たことのない世界」でしたね。
それだけに感覚的に意味合いがつかみにくいわけですが。
宮台氏の映画評の本はとても参考になります。
『絶望 断念 福音 映画―「社会」から「世界」への架け橋』、
『〈世界〉はそもそもデタラメである』という2冊は、
今でも本棚から引っ張り出して参照したりしています。
『ダ・ヴィンチ』でやっていた連載が終わってしまってからは、
「マル激トーク・オン・ディマンド」というネット番組で映画について語ったりしているみたいですね。
まれさんのコメントをいただいてから検索して、
マル激の動画で『TENET』や『鬼滅の刃』について語っている回を拝見しました。
『鬼滅の刃』映画版と『TENET』、それから『メッセージ』などから決定論的な世界で生きる際の倫理みたいな話に展開してましたね。
利己的よりも利他的に生きるほうがカッコいいという……。
これは前から宮台氏が語っていることですが、
そんなふうに生きられるような人になりたいとは思いますが、
なかなか難しいところもあります。
『鬼滅の刃』映画版もそんな話になっているということで、
宮台氏の話を聴いていたらちょっとそちらも観たくなってきました。
「鬼=利己的な現代人」という説もおもしろく拝聴しました。
もととも宮台氏の言説にはいつも納得させられるところがこれまでも多く、
私は一時とても熱心に著作を追っていました。
宮台氏は頭の回転が速すぎて、
凡人としてはついていくのが大変な時もありますが、
色々と学んだことは多い気がします。
そう言えば『デジャヴ』もタイムリープものの一種でしたね。
それから『TENET』のテラスは有名な場所なんですね。
確か登場人物が会話しているシーンだったと思いますが、
そんなシーンにも結構金がかかる場所を選んでるんですね。
まれ
Date2020.12.29 (火) 10:03:12
今回のマル激映画批評は面白かったです。というのも、内容を知っている作品ばかりな上、内2作品『TENET』と『異端の鳥』は鑑賞していたので、長い動画でしたが、とても楽しめました。最後の作品も、先にNickさんのレビューを拝読していて、ラッキーでした、ありがとうございますm(__)m 『異端の鳥』、レビューがUPされるのではと思っていましたが、鑑賞されていないのか、レビューを書くまでもない作品だったのでしょうか(観ればわかる作品)。マル激のお二人、救われるラストはいらないと言っていましたが、あのラストがなければ、どこも配給してもらえない作品だったのではないかと。ただ、彼の地では、救いがない方が真実味があるような気はしました。
宮台氏の著書、お読みになっていたんですね。私は1年位前からマル激トークをたまに観ていまして、映画というより、神保氏と宮台氏の時事解説が分かりやすく、信用できるので、興味がある回は観ていました。映画批評もたまにUPされ、気が向いたら観ていましたが、宮台氏、単なる映画好きではなく、連載も持たれていたんですね。
先月のマル激に、田中角栄についての本を出版された方が登場したようですが、その本の内容は、既に小室直樹氏が言っていたことの裏付けを取っただけと言っていました。小室氏も天才と呼ばれていますが、宮台氏とも比較し、天才、頭が良いとはどういう人なのかと考え、情報量が膨大(記憶力が桁外れ)で、それらを分析し、言語化できる人、ということですかね。話を聞いている分には理解できますが、著書は興味がありつつ、多分、難しくて読めないような・・・。
決定論的な世界で生きる際の倫理(私の雑なまとめ、失礼しました 笑)において、故ダイアナ元妃を思い出しました。少し前、彼女のインタビュー中のひと時の映像を観まして、なぜ、ボランティアをするのかと問われ、”他にする事がないから”と答え、小さなウィリアム王子に、そんなこと言ってはダメだよ、とTake2を撮らされていました。日々の生活に困らず、特にすることもない人がボランティア活動をされることが多いのを考えると、将来に心配がない人=決定論的な世界の人、とも言えるような気がしました。
誰しも、ゆとりができたら自発的に利他的になるような気がしており、その域ではない人は、ムリに利他的になる必要はないと思っています。
マル激にて、『TENET』は潤沢な製作費があり、世界各国で撮影したと言ってましたよね。監督がアマルフィ海岸を選ばれたのは、流石と思いました。紺碧の美しい海はどこにでもありますが、写真でも魅了される空中庭園が決め手だったと、私は思っています 笑
Nick
Date2021.01.05 (火) 15:23:16
宮台氏があまりに褒めているもので気になってしまって。
個人的には宮台氏ほどの絶賛とまではいかなかったのですが、
熱くなる話だし泣かせるものがありました。
『異端の鳥』は劇場で観てましたが、
諸々の理由でレビューは書けませんでした。
衝撃的な話ではあるのですが、
ほかの人がブログで書いていることに付け加えて言いたいこともなかったからかもしれません。
宮台氏はラストに関して疑問を呈していましたが、
私もどこか惜しい作品だったように感じました。
余裕があると利他的になるというのはあり得る話ですよね。
故ダイアナ元妃の「他にする事がないから」という発言は、
公的にはまずかったんでしょうね。
正直な気持ちのような気もしますが……。
故ダイアナ元妃は自分の境遇はとりあえず経済的にはそれ以上望むものはなかったのでしょうが、
それだけ生きていけるほど人間は単純ではないでしょうし。
小室直樹氏はソ連崩壊を予言していたとかも言われているようですね。
その本自体は読んでないのですが、
宮台氏の師匠の一人として著書に名前が度々登場してますね。
小室直樹氏の本をたくさん読んだわけではないのですが、
『日本人のための憲法原論』のような社会学の解説本の類いはいくつか読みました。
素人にもとてもわかりやすく書かれていて物事が整理される気がしました。
まれ
Date2021.02.22 (月) 00:54:14
『異端の鳥』、やはり、鑑賞してましたよね。Nickさんが観ないわけないと思ってました。残酷過ぎて、映画祭でも途中で席を立つ人が多かったらしいですが、彼の国の実情だろうと思うと、映像以上の説明はあまり要らないかもしれませんね。ラストは非現実的ということで残念ということでしょうか?個人的には、蛇足だったのかもしれませんが、こんなに過酷である状況を世界に知らしめる為、救いが必要だったのかなと思いました。東欧制作という点で、彼らが自分達で一歩前進したような気がしました。
利他的で故ダイアナ元妃を思い出しましたが、良く考えましたら、彼女は将来に心配がないという意味での決定論的世界の住人だったのに、気が付けば、想定外の人生で、真逆な人でしたね。以前、見る機会が多かったNHKの『百歳バンザイ!』。皆さん、経済的事情はまちまちでしたが、農作業やピアノ、書道を教えていたり、好きなこと、打ち込めるものをお持ちの方が、健康的で生き生きとしていると思いました。定年というのは、実は人にとっては不健康なシステムかもしれませんね。ただ、仕事が過酷になってしまった現代、ある程度の年齢で退職しないと病気になってしまいそうですし。全体的に経済面で豊かになった反面、趣味を持つ余裕も時間も失い、老後、精神的に路頭に迷ってしまうのは残念ですが、時代の転換期なんでしょうね。奇しくもコロナ禍が仕事や生き方を見直す機会になったのは良かったような気がします。
ドキュメンタリで”Take2”を進言したのは、幼いウィリアム王子でした。幼い頃からの王太子、皇太子の人間性や優秀さを目にすると、帝王学の効果の高さに驚かされます。最近知りましたが、昭和天皇と貞明皇后が好んだ次弟秩父宮殿下との間に確執があったそうで、身近で育てられる分、次男の方がかわいいと感じるのも仕方ないでしょうが、王侯貴族の次男向け教育も必要なのではないかと思いました。
小室直樹氏の著書、読んでみたい気がします。wikiによりますと、奇人過ぎて、本でも書かなければ生活できなく、執筆活動を始めたそうですね 笑 どんな形でも偉業を残すことになるのが天才だと思いました。