『アクアマン』 見た目はヒールなヒーロー
『ジャスティス・リーグ』などのDCエクステンデッド・ユニバースの第6作。

『ジャスティス・リーグ』で初めてお目見えしたアクアマン。そのマッチョぶりはほかのヒーローたちと比べても際立っていた。というか、ほかのヒーローが様々なコスチュームに身を包んで着飾っているのに対し、アクアマンは半裸だからそんなふうに見えるわけだが……。
アクアマンを演じるジェイソン・モモアは、ハワイ生まれのアイオワ育ちで先住民の血をひいているのだとか。長髪にタトゥーという風貌はプロレスで言えばヒール(悪役)風でもあり、地元で寄ってくる連中もそうしたいかつい奴らばかりというのもおもしろいところ。
ブラックマンタ(ヤーヤ・アブドゥル=マティーン2世)との因縁が描かれるエピソードは、ジェイソン・モモアのマッチョな身体が活かされた場面だった。アクアマンの武器といえば矛なのだけれど、この時点では由緒正しき三叉槍(トライデント)は持っていないわけで、肉体そのものが武器と言わんばかりに海賊たち相手に肉弾戦を展開する。しかもプロレスラーのように“受け”を重視していて、パンチもまったく効かないし、銃弾すらも跳ね返して「何でもない」という表情。雑魚を蹴散らしていく闘いが気持ち良かった。
物語は海のなかの七つの国を巡ったり、なぜか空を飛んでみたり、シチリアで大暴れしてみたりとあちこちへと飛ぶ。それぞれ独特の世界観を持つ七つの国の造形はそれなりに見せるし、『スター・ウォーズ』のストームトルーパーのような兵隊たち(登場の仕方がいい)とか、『インディ・ジョーンズ』のような謎解きもあって盛りだくさんな内容だった。トライデントを手に入れアトランティス王として大見得を切るあたりが一番の見せ場だろうか。最後に右手を突き上げるシーンはまるで猪木のようでもあった。さすがに140分は長すぎだけれど、楽しめる作品になっている。
目が覚めるほどの赤い髪のアンバー・ハードも魅力的だし、貫禄で女王を演じたニコール・キッドマンもいい。大物みたいな雰囲気を漂わせつつ何もしなかったドルフ・ラングレンや、仏様のような髪型のウィレム・デフォーなど脇役も賑やかだった。
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