『Vision ビジョン』 自己陶酔の新しい形?

 『光』『あん』などの河瀨直美監督の最新作。
 カンヌ映画祭の常連の河瀨直美が、そこでジュリエット・ビノシュと出会って出来上がった作品らしい。
 なぜかプロデューサーにはEXILE HIROが名前を連ねている。

河瀨直美 『Vision ビジョン』 ジュリエット・ビノシュ演じるジャンヌは、アキ(夏木マリ)に植物の話を聞くと……。


 フランス人エッセイストのジャンヌ(ジュリエット・ビノシュ)が奈良県吉野の山奥にやってきたのは“Vision”という植物を探すため。ジャンヌはそこで山守を務める智(永瀬正敏)と出会うことになり……。

 これまでの河瀨直美作品が特段難解だと思ったこともなかったのだけれど、この作品はまったく意味がわからなかったというのが正直なところ。
 トンネルを抜けて森の奥に入るとそこは異世界で、時間の感覚が狂い現在も過去も同時に存在するような世界になるらしい。森の中心に位置する神秘的な大木や、その前で森の神に奉納するかのような舞を踊るアキ(夏木マリ)なんかから推測するに、『朱花の月』にも垣間見られた神話的な世界を描こうとしているのだろう。
 ジャンヌが奈良へとやってきたのは“Vision”という植物のためということだったはずなのだけれど、それがいつの間にかに森のなかで起きようとしている1000年に一度の出来事への関心へと移行する。しかし後半では、“Vision”とどんな関わりがあるのかわからないジャンヌの過去の話へと移り、ジャンヌの息子らしき鈴(岩田剛典)という青年の話になっていく。そうこうするうちに森の一部が炎によって焼かれることで何かが回復したらしい。
 自分でも何を書いているのかわからないのだが、この作品をどのように解釈すればいいのか見当もつかない。森のなかの神話的世界に親しく接している人なら理解できるのだろうか。呪術的世界から離れて暮らす多くの凡庸な観客には共有している前提が違うのかもしれない。とにかく「わかる人にはわかる」といった作りになっていて、傲慢さすら感じさせる。
 あまりにわからないので悪口すら言い難いのだけれど、ジュリエット・ビノシュ永瀬正敏のセックスシーンは酷くぎこちなかった。フランスを代表する女優に遠慮してしまったのかもしれないし、河瀨組の演出方法が問題だったのかもしれない。
 河瀨組の撮影現場では役者陣は与えられた役になり切っていて、相手役の人と接するのも撮影のときに限られているのだとか。だから休憩時間や待ち時間に相手とコミュニケーションを図ることすらできないらしい。演出方法としてはおもしろいのかもしれないけれど、演じる場面によっては具合が悪いものにもなっているように感じられた。
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Date: 2018.06.14 Category: 日本映画 Comments (0) Trackbacks (1)

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>>Vision from 象のロケット
フランスの女性エッセイスト、ジャンヌは、通訳兼アシスタントの女性・花と共に、奈良・吉野の森を訪れる。 一方、吉野の山守の男・智は近所に住む老女アキから、明日は春日神社へお参りに行くように、と告げられる。 翌朝、智は春日神社でジャンヌと花と出会い、ジャンヌが“ビジョン”という薬草を探していることを知らされる…。 ファンタジック・ドラマ。 >READ

2018.06.16

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