『レディ・バード』 Ladybird, ladybird, Fly away home.
『20センチュリー・ウーマン』や『フランシス・ハ』などに出演していたグレタ・ガーウィグの監督作品。これまでも脚本などは手がけていたグレタ・ガーウィグの初の単独監督作となるとのこと。

この作品は監督で脚本も書いているグレタ・ガーウィグの自伝的要素が入っているとのこと。グレタ・ガーウィグが脚本を書いていた『フランシス・ハ』の主人公も地下鉄構内でオシッコしてしまうような自由さがあったが、『レディ・バード』の主人公クリスティンも、母親との意見の対立から走っている車のなかから飛び出してしまうというメチャクチャな女の子だ。
主人公を演じたシアーシャ・ローナンは、アカデミー賞に何度もノミネートされていてすでにベテランとすら思えるけれど、この作品ではニキビ面を隠すことなく高校生役を演じている。そんなシアーシャ・ローナンの主演作『ブルックリン』は、故郷のアイルランドを離れ、ブルックリンという都会を第二の故郷とすることになる女性の話だったが、『レディ・バード』は故郷の田舎町サクラメントを離れたくてしかたなかった女の子が、実際に離れることになって初めて故郷の素晴らしさを知る話ということになるだろうか。

この作品の主人公クリスティンは、親への反抗なのか自分を“レディ・バード”という自らが決めた名前で呼ぶことを周囲に求める。しかし最後の場面では、親から与えられたクリスティンという名前を受け入れることになる。
友人関係も同様で、一度は日焼けしたカッコいい女の子ジェナ(オデイア・ラッシュ)と親しくなり、以前からの親友でぽっちゃりのジュリー(ビーニー・フェルドスタイン)とは疎遠になってしまうものの、最後にはジュリーとヨリを戻すことになる。
さらには男性関係も同様だ。最初の彼氏であるダニー(ルーカス・ヘッジズ)は実はゲイだったことが判明し、次の彼氏カイル(ティモテ・シャラメ)とは初体験までするものの彼が嘘つきであることがわかって幻滅する。結局はセックスよりもオナニーのほうがよかったというのも、色々体験して元のところのよさを知るということだろうか。
それはともかくとしてこの作品でよかったのは主人公レディ・バードと母親マリオン(ローリー・メトカーフ)の関係性だろう。いつも対立しているようでいて、愛情を求めてもいる。女性監督だからこそ描ける母と娘の微妙な関係で、それを具体的に説明することはなかなか難しい。視点は主人公であるレディ・バードのほうにあるのだけれど、時にその視点が母親側に移行する場面もあって、どちらの気持ちもよくわかる。女性がこの作品を観れば色々と共感できたり身につまされたりすることが多いんじゃないだろうか。
サクラメントをドライブする場面では、ふたりの姿が重ね合わされるように編集されている。ここでは母と娘は違う人間ではあるけれど、同一性を持つ存在のようにも感じられた。母と息子、父と息子の関係だったらそんな感覚は妙なものとなるはずで、母と娘という関係性には独特なものがあるのかもしれないなどと感じた。



この作品は監督で脚本も書いているグレタ・ガーウィグの自伝的要素が入っているとのこと。グレタ・ガーウィグが脚本を書いていた『フランシス・ハ』の主人公も地下鉄構内でオシッコしてしまうような自由さがあったが、『レディ・バード』の主人公クリスティンも、母親との意見の対立から走っている車のなかから飛び出してしまうというメチャクチャな女の子だ。
主人公を演じたシアーシャ・ローナンは、アカデミー賞に何度もノミネートされていてすでにベテランとすら思えるけれど、この作品ではニキビ面を隠すことなく高校生役を演じている。そんなシアーシャ・ローナンの主演作『ブルックリン』は、故郷のアイルランドを離れ、ブルックリンという都会を第二の故郷とすることになる女性の話だったが、『レディ・バード』は故郷の田舎町サクラメントを離れたくてしかたなかった女の子が、実際に離れることになって初めて故郷の素晴らしさを知る話ということになるだろうか。

この作品の主人公クリスティンは、親への反抗なのか自分を“レディ・バード”という自らが決めた名前で呼ぶことを周囲に求める。しかし最後の場面では、親から与えられたクリスティンという名前を受け入れることになる。
友人関係も同様で、一度は日焼けしたカッコいい女の子ジェナ(オデイア・ラッシュ)と親しくなり、以前からの親友でぽっちゃりのジュリー(ビーニー・フェルドスタイン)とは疎遠になってしまうものの、最後にはジュリーとヨリを戻すことになる。
さらには男性関係も同様だ。最初の彼氏であるダニー(ルーカス・ヘッジズ)は実はゲイだったことが判明し、次の彼氏カイル(ティモテ・シャラメ)とは初体験までするものの彼が嘘つきであることがわかって幻滅する。結局はセックスよりもオナニーのほうがよかったというのも、色々体験して元のところのよさを知るということだろうか。
それはともかくとしてこの作品でよかったのは主人公レディ・バードと母親マリオン(ローリー・メトカーフ)の関係性だろう。いつも対立しているようでいて、愛情を求めてもいる。女性監督だからこそ描ける母と娘の微妙な関係で、それを具体的に説明することはなかなか難しい。視点は主人公であるレディ・バードのほうにあるのだけれど、時にその視点が母親側に移行する場面もあって、どちらの気持ちもよくわかる。女性がこの作品を観れば色々と共感できたり身につまされたりすることが多いんじゃないだろうか。
サクラメントをドライブする場面では、ふたりの姿が重ね合わされるように編集されている。ここでは母と娘は違う人間ではあるけれど、同一性を持つ存在のようにも感じられた。母と息子、父と息子の関係だったらそんな感覚は妙なものとなるはずで、母と娘という関係性には独特なものがあるのかもしれないなどと感じた。
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この記事へのコメント:
まれ
Date2020.07.06 (月) 00:03:04
米国の田舎にありがちな設定と、突拍子もない娘のドタバタ劇と思いながら観てましたが、毛嫌いしていた故郷の美しさや良さに気付き、日々、その景色に見とれている母親が重なった部分は素敵でした。監督の自伝的映画というので、本当に、そういう思いだったんでしょうね。心象の映像化は感動します。
NY行きの便が離陸した機内からの景色は、本当に田畑ばかりが広がり、クリスティンの気持ちもわかると思いながら地図で調べてみると、山岳地帯の山間に広がる穀倉地帯であり、イタリアの北部ポー平野を思い出しました。小国は近くに都会があるのが利点ですね。
気に入らない故郷と親子関係は似ており、一度距離を置いた方が良さを発見できる気がします。実家に帰省した際、そう感じる人が多いと思いのではないかと 笑 地元で家庭を持つことを望むジェニータイプも然りで、監督のような芸術肌は特に東海岸に興味を持つのも当たり前で、家庭の難しい経済事情を乗り越え、夢を実現させたパワーは凄いと思いました。日本でも学生ローンが問題となっていますが、米国は実力があれば直ぐに高給取りになれる基盤があるのため”本気度”があれば、あのレベルの家庭なら立身出世ができるんでしょうね。
日本も戸建てを持つことが人生の大きな目標のようですが、米国(の田舎)では”大きな家”が目標というのが面白かったです。多分、土地の広さや物価を考慮すると、値段的には同じくらいの買い物なのだろうとは思いますが、クリスティンの家も、個人の部屋があり、小さいながらも庭があり、治安が悪くないので、ご両親の敗北感が可哀そうな気がしました。
サブプライム・ローン問題も、それが原因なので、いわゆる”アメリカン・ドリーム”の集大成なんでしょうね。ネット普及と感染問題で生活様式がどのように変化するのかと興味深く感じながら、米国では人種差別反対運動が激しくなり、今や、奴隷制度で経済が回っていた南部の開拓者の一部の末裔が奴隷制時代の旗を掲げ、その掲揚の是非を州民に問うかも?というニュースを目にし、米国の多様性に興味がつきません。ただ、人種差別は問題ですが、奴隷制度を堂々と正当化する思考は、彼らが奴隷と蔑む対象より野蛮ではないかと・・・。どうしても大統領選が絡んでいる気がして、罪な行事ですね・・・苦笑
『ふたりの女王』を見ながら、主演のシアーシャ・ローナン。顔も、かわいらしく、自由奔放な雰囲気がリュディビーヌ・サニエに似ていると思いました‼ 彼女を発見(笑)したのはオゾン監督の『スイミング・プール』で、作品の南仏のバカンス空気感、若さと輝いているサニエとストーリーのミステリアスさが印象的で、大好きな映画です。性描写のリアリティさも2監督に通じるものがあり、それを演技しきるお気に入り2女優も、やはり、共通項がある気がしました。
まれ
Date2020.07.06 (月) 00:06:34
久々にどこをとっても素晴らしい映画を観た気がしました。『ふたりの女王』から衣装は期待通りで、しかも、アカデミー賞を受賞してましたね。当時が伺える絵画のようなシーン(公園や海辺)、随所に見られる人を思いやる心には涙がポロリ(特に貧困家庭への援助やミスター・ローレンスとべス、家族を思うエイミーの決意など)、そして、ラストが物語的にも映像的にも本当に素晴らしかったです。ただ、”自由”を求める監督のアイディアかと思っていました。
実は、私も『若草物語』の内容は知らず、作家に関してもなんの知識もなく、これを機に調査をしてみましたら、オルコットは生涯独身だったので、監督の解釈はあながち間違っていないようですね。マーチ叔母がいうように、当時の米国ではお金持ちや自分で稼げる女性は結婚する必要はないというのが、ある種一般的だったとしたら、現代より先進的ですね 笑 思えば『赤毛のアン』のマシュー・マニラ兄妹は土地持ちで独身でした。それでも、何があるかわからないからとマニラはアンに学業を続けるよう勧めていたのを思い出します。開拓の地米国では、実は昔から男女共にアメリカン・ドリームである立身出世が可能な国だったんですかね。
俳優陣、特に女優陣が良かったですね。メグ役のエマ・ワトソンはとにかく愛らしく、見た目も素振りも男勝りなジョー、心優しいベスと末っ子らしい我儘と聡明さを持つエイミー。Nickさんも書かれていましたが、私も途中から完全にエイミーの魅力に持っていかれました 笑 やはり、助演女優賞にノミネートされてましたね。鼻にしわを寄せて笑うクセのシアーシャ、日本の女優さんの誰かに似ていると思いましたが、思いつかず。クセは別として、綾瀬はるかさんかな?と思いながら、でもスッキリしないので違いますね・・・笑
頼りないローリーがエイミーの夫になる設定は納得の結末でしたが、シャラメのおどけた演技が『君の名前で僕を呼んで』のエリオを彷彿させ、ちょっと残念でした。でも、特に若い世代に希望を与える作品だと思えるので、魅力的な俳優陣が若い世代に興味を抱かせるきっかけとなればと思いました。図らずや現在問題になっている奴隷解放に繋がる南北戦争時代というのもタイムリーでした。もっとも本国米国の公開は昨年末なので、この映画の影響はあまりないかもしれませんが・・・。
Nick
Date2020.07.14 (火) 22:05:29
>故郷と親子関係は似ており、一度距離を置いた方が良さを発見できる
これはまさにそうですよね。
私も田舎から出てきて東京で暮らしてますから、
そのあたりは如実に感じることがあります。
ずっと故郷だけで暮らしていたら気づかないことなのかもしれません。
昔はアメリカン・ドリームもある程度素直に信じられたのかもしれませんが、
今はどうなんでしょうね。
もちろん一部の大金持ちにとっては別の話なのかもしれませんが。
『ドリーム ホーム 99%を操る男たち』という作品では、
ドリームというタイトルに反して99パーセントが負け組になるという話でした。
普通に働けば住む家くらいは持てるようになるのがいいとは思いますが、
日本ではなかなかそれは大変そうです。
真っ当にバリバリと働いているわけでもないので仕方ないのかもしれませんが……。
シアーシャ・ローナンが出ている作品は結構気になります。
作品に恵まれているのかもしれませんね。
もちろん本人もアカデミー賞に何度もノミネートされるほど実力があるわけですが。
『スイミング・プール』のリュディビーヌ・サニエは結構大胆なシーンもあったように記憶してますが、
シアーシャ・ローナンはこれまでそういう場面はなかったような気がします。
フランスの女優さんはあまりヌードに対して抵抗がないようにも見えます。
シアーシャの『追想』では初夜に逃げ出してしまう女性を演じていて、
そんなお堅いイメージがあるからかもしれません。
そう言えばシアーシャの最新作の『ストーリー・オブ・マイ・ライフ/わたしの若草物語』でも結婚することを拒否する主人公でしたね。
Nick
Date2020.07.14 (火) 22:09:53
『ストーリー・オブ・ライフ/あなたの若草物語』はまれさんもお気に召したようで何よりです。
私も同感で観に行ってよかったと思わせる作品でした。
女性向きの作品なんじゃないかと最初は躊躇していたので。
『赤毛のアン』はそんな時代の話でしたか。
昔アニメで観た記憶はありますが細部はまったく忘れてしまいました。
個人的に『ストーリー・オブ・ライフ』を観た時に思い浮かんだのは『大草原の小さな家』でした。
『大草原の小さな家』の原作は子供のころにいくつか読んでいて、
ほのぼのとしているところが印象として似ているように感じました。
西部の開拓時代はアメリカン・ドリームが実際にあったんでしょうね。
今週末からは以前まれさんにご紹介いただいた、
オゾン監督の最新作が日本でも公開されるようですね。
楽しみにしてましたのでそのうちレビューしたいと思っています。
まれ
Date2020.07.19 (日) 10:28:52
『ふたりの女王』もグレタ・ガーヴィグ監督と勘違いしながら『ストーリー・オブ・マイライフ』の衣装に期待していたので、アカデミー賞に納得してましたが、別の監督でした、すみませんm(__)m 苦笑
『レディー・バード』で面白いと思ったのが、田舎であっても地元から全く出るきがない若者、それも、仲間内ではイケてる子達という部分です。日本の芸能人で元ヤンも多く、どなたかが仰っていた”田舎の可愛い子はヤンキーになり易い説”、あると思います 笑 彼らは地元で”楽しみ”を見出してるんですよね、映画の若者達のように。早い内に就職、結婚し子供を持ち、実は日本経済を支えている層というのも納得です。日本は欧米に比べて進学率が高く、大学も企業も都会に集中しているのが、若者の地方離れの原因ではないかと。とはいえ、菅官房長官のような”金の卵”世代は進学せずとも上京してましたから、企業や工場の都会集中が原因ですかね。彼らの世代くらい迄が、普通に働いていれば、それなりの家も家族も持ち、老後も心配のない最後かもしれませんね。ところが、コロナ禍とネット出現で地方でも働けるようになりつつあり、都会離れも起こっているの現状を、やはり未来は予測できないと改めて思いました。
『ドリーム・ホーム 99%を操る男たち』のwikiを読みました。やはり、サブ・プライム・ローンの話でしたね。ウサギ小屋と呼ばれる家に住む多くの日本人にとって、彼らのドリーム・ホームは大き過ぎじゃないかと 笑 リーマン・ショック時、ローン対象地区の家をニュースで見ましたが、どれも素敵な家でした。ただ、住んでいる人達は、とても、そんな家を持てる層には見えず。転売目的で売り付けた不動産ブローカー、金融関係者、そして、それを買ってしまう購買層の見通しの悪さに、どうかしてると思っていましたが、ドリーム・ホーム時代で、ターゲットだったから仕方ないですね。悪い奴らの知恵の高度さには、よほどしっかりした人じゃなければ太刀打ちできませんね。そういうカモがいるからこそ、知恵の出しようもあるのでしょうが・・・。積水ハウスの地面師詐欺事件も、どうやって?と思います。
まれ
Date2020.07.19 (日) 10:34:37
確かにヌードという点ではシアーシャは脱いではいませんが、子供成す目的を遂行するメアリー、その描写が生々しく大胆に見えました 笑 『スイミング・プール』のリュディヴィーヌは姿も行為も大胆でした 笑 それを難なくこなした彼女が清々しく、すっかりファンに。とはいっても、追っかけて映画を観ていたわけではないですが、雰囲気も含め好きな女優さんです。
そういえばジュリエット・ビノシュがハリウッド・プロデューサーのセクハラ問題が勃発した後、”若い頃はムリヤリ脱がされていた”と発言してまして、仏女優でも嫌だったのかと驚きました。仏映画は必要以上に全裸シーンが多い印象なので 笑 生活の一部として描写されているせいか、見慣れると特筆する姿ではなくなりますね 笑
『ストリート・オブ・マイライフ』、本当に楽しい映画でした。私も、この映画は観る予定はなかったのですが、シアーシャ流れと、たまたま観たテレビドラマ『My Brilliant Friend』 。50年代のナポリ近郊の貧しい下町で暮らす2人の女の子が主人公で、彼女達が失くした人形の代わりに手に入れたお金で、新しい人形を買わず本を購入。理由はその本の作家のように本が書ければお金持ちになり、貧乏な家族も救えるという発想からで、その本こそ『若草物語』だったんです。その先が知りたくて(笑)原作を検索するとwikiに詳細がありまして、『若草物語』と同じく自伝的な作品で4部作。ただ、内容は貧困、暴力、不倫とドロドロな感じのお話。町のマフィアはあのカモーラ!彼らはナポリ・マフィアでしたよね、そう言えば。邦訳『リラとわたし』が出ていますが文庫版がない点で人気だったのはドラマが放映された本国イタリアと米国だけだったような 笑 そんな流れで『若草物語』くらいは知っておこうと観たので、期待を大きく上回りました。『ハリー・ポッター』も映画第1作は観ましたが、それ程面白くなく、小説も読んでいません。なので、ベス役のエマ・ワトソンの”愛らしさ”は近年あまり見かけない女性だと思ったりもしました。
『大草原の小さな家』は大草原の小さな家に住む家族程度しか知識がなくて・・・笑 開拓時代はどこも似たような雰囲気があったかもしれないですね。『赤毛のアン』はカナダでしたが・・・m(__)m
”新作はつまらない家族の出来事”と言ったジョーにに対し、エイミーが”それを本にした人はいないから、つまらないかどうかはわからない”と言っていたのが印象的でした。人生はそれぞれで、どの人の人生も聞いてみると興味深いのだろうと思います。
その点でアガサ・クリスティーは女流作家でも推理作家で、一味違いますね。有名な『アクロイド殺し』は数年前、大泉洋主演で始めて観ました。彼が端役ではない点と物語が彼の執筆物という始まりで疑惑の目、そして録音機が登場したところで犯人はわかりました。当時、小説を読んでいた人の驚きは大変だったと思い、ラストの有り無し論争もわかります。でも、『名探偵ポアロ』の推理不可能な展開より好感が持てます 笑
まれ
Date2020.07.19 (日) 10:41:15
オゾン監督の最新作『夏、85』、トレーラーをチラッと見ました。85年ということは”エイズ”を取り扱った作品と思いきや英国作家の『おれの墓で踊れ』を原作とした作品で、『グレース・オブ・ゴッド』がキツい内容と公開が危ぶまれたこともあり、この映画は同性愛に対しての深刻さはなく、若い青年2人の間の出来事にフォーカスしたフィルム映画のようです。
85年はエイズ問題が勃発した後なので、触れられていると思いますが、原作は81年に書れたのでエイズなど著者ですら知らない時代。でも、本が出版された頃、まさに病気が世界を席巻し、物語とリンクする形で人気が出たそうです。映画のタイトル、本当は84年だったのですが、使用した曲The Cureの”In Between Days”は85年に出た曲というので、権利取得のためタイトルを変えたそうです 笑 主人公の年齢と監督が原作を読んだ17歳の年ということで、84年を思い浮かべながら撮影したそうです 笑
この映画には監督の他作品を彷彿させるシーンが多いらしいですが、監督自身、小説に自分の映画に似た部分を多く見つけて驚き、他作で撮影したシーンになっていないか気を付けたそうです 笑 映画の詳細を覚えていないので、その辺は楽しめないのが残念です。
『グレース・オブ・ゴッド』にも出演しているメルヴィル・プポーが教師役で登場し、主人公と『危険なプロット』に似た関係でもあるそうです。この映画、面白かったですよね。監督曰く、映画はインターラクティヴで、観客は想像しながら見て欲しいのと、自分の作品は観客の想像を覆すとも。確かにどんでん返しが肝ですね 笑 こちらは観てみたいと思っています。
そして、監督は今、『Tout s'est bien passé (Everything went well)』という、なんと、『スイミング・プール』の脚本家で2017年に亡くなったエマニュエル・ベルンエイムの小説をソフィー・マルソー主演でコロナ禍、撮影中とのことでした。意外な組み合わせですよね。年齢が近く、ソフィー・マルソーの『ラ・ブーム』デビューを目の当たりにしているので、今、何か通ずるモノがあるのかもしれませんね。ソフィー・マルソーはうるさいのであまり好きではないですが、監督の作品は捻りがあるので、”いずれ”観ると思います 笑
Nick
Date2020.07.28 (火) 00:33:55
うちの田舎のほうではヤンキーがカッコいいとすら思われていたのかもしれません。
というか何かモードがあるとしたら、ヤンキーというスタイルくらいしかなかったのかもしれません。
田舎でも楽しく過ごせてそこが快適ならば、
わざわざ都会に出ようとは思わないのかもしれませんね。
私自身は都会には何かあるんじゃないかと思ってた浅はかな人間だったわけですが、
それ以上に田舎が嫌になっていたからとも思えます。
未来を予測することは難しいですね。
特に経済はそうなのかもしれません。
私みたいに経済に関してド素人だと、
適当な用語を散りばめられたら理解不能になってしまいますし、
騙される人もいるのかもしれません。
『マネー・ショート 華麗なる大逆転』では、
そんな金融商品は「腐った食材と新鮮な食材と合わせてシチューにしたもの」だと説明されていました。
ごちゃまぜにしてしまえばわからなくなるということのようですね。
だから余計に素人にはわからないものなんでしょうね。
一生に何度もある買い物にそんな騙しが紛れ込んでいたら怖いですが……。
Nick
Date2020.07.28 (火) 00:36:03
この映画のリュディヴィーヌ・サニエはとてもカッコいい女性でしたね。
この映画を見ると、まれさんが指摘されていたように、
シアーシャ・ローナンと雰囲気が似ているように感じました。
ジュリエット・ビノシュも今では大物然としていますが、
「ムリヤリ脱がされ」ていたような時代もあったんですね。
こっちの勝手な思い込みでフランスではそれが普通みたいにも感じてましたが、
やっぱり人によって違うんでしょうね。
とはいえフランス映画はそういうシーンは多い気もして、
「見慣れると特筆する姿ではなくなる」というのもわかります。
『スイミング・プール』の主役はシャーロット・ランプリングでしたが、
同じオゾン監督の『17歳』の役どころと正反対の役柄だったのがおもしろかったです。
『17歳』では、シャーロット・ランプリングが若い女性の崇拝の対象となっていたのですが、
『スイミング・プール』ではリュディヴィーヌ・サニエ演じる若い女性に翻弄され嫉妬しているように見えましたから。
久しぶりに『スイミング・プール』を観て、ちょっと発見したような気分になりました。
『My Brilliant Friend』というドラマはHBOは製作しているみたいですね。
ここの会社のドラマは結構力が入っているみたいですね。
最近見た『チェルノブイリ』や『ヤング・ポープ 美しき異端児』もHBOでしたね。
『ストリート・オブ・マイライフ』も「つまらない家族の出来事」が題材になってましたが、
全然退屈するところはありませんでしたね。
『オリエント急行殺人事件』を別とすれば『名探偵ポアロ』の映画は全然見たことがないのですが、
アガサ・クリスティの本はあちこちで映画化されてますね。
有名なものは最初からネタもバレてしまっていて、
私は『アクロイド殺し』は本で読みましたが、
犯人を知ってから読みました。
それでもそのアイディアはさすがですね。
もしかすると今ではそれほど珍しくないのかもしれませんが、
最初にやった人はやはり褒められるべきかと。
Nick
Date2020.07.28 (火) 00:41:41
長めの作品でも惹き込まれるものがありました。
さすがに題材が題材だけに、
性的虐待の場面は一切ありませんでした。
被害者が大人になってからそれを言葉で語るシーンはありますが。
過去の場面はちょっとだけで直接的な描写を避けているのは、
さすがに色々と問題になるからかもしれませんね。
タイトルは皮肉なのかと思ってましたが、
事件の記者会見の時にカトリック教会の関係者が発した実際の言葉から採られているようです。
オゾン監督の最新作『夏、85』の予告編を見ましたが、
バイクのシーンは『マイ・プライベート・アイダホ』だし、
ヨットのシーンは『太陽がいっぱい』のそれを思い出させますね。
フランス語が皆目ダメなのでどんな話かはさっぱりわかりませんが、
青春映画風の雰囲気ですね。
『危険なプロット』は若者と先生の共犯関係みたいな部分がおもしろかったですね。
メルヴィル・プポーは『グレース・オブ・ゴッド』にもアレクサンドル役で出ていましたが、
映画によって印象がだいぶ変わりますね。
『夏物語』と『わたしはロランス』と『グレース・オブ・ゴッド』が同じ人とは思えませんでした。
名前は印象に残るんですがね。
>ソフィー・マルソーはうるさいのであまり好きではない
「うるさい」というのがおもしろい評価ですが、
私は昔は大好きな女優さんでした。
一番好きな女優さんだったかもしれません。
『ラ・ブーム』のころはいかにもかわいらしいアイドル的な存在でしたね。
その後決定的な作品には恵まれてないような気がしてちょっと残念ですが。
まれ
Date2020.08.01 (土) 23:28:33
『スイミング・プール』、久々に鑑賞されたんですね!そうなんです、この映画のジュリーは南仏の夏の太陽のように強く輝いていて、それを堂々と演じていたリュディヴィーヌが印象的でした。仰る通り、役と女優としての本人の”強さ”がカッコよく見えたのかもしれません。バカっぽい雰囲気を出しながも賢さが光っており、物おじしない演技がシアーシャに重なりました。
『17歳』の魅力的な少女は男性ではなく、同性の、しかもかなり年上のシャーロット・ランプリングに魅了されていましたね。この2作の対比、全然思いつきませんでした、Nickさん、流石ですm(__)m ずっと気になっていたヴィスコンティのドイツ三部作の『地獄に堕ちた勇者ども』を先日鑑賞し、儚く透明感のある美しい女優さんが出ていると思いましたら、若き日のランプリングでビックリしました‼ 若い頃、こんなに美しい女性かったとは・・・。往年もその神秘的な美しさは別格で、彼女に憧れる『17歳』は嘘ではないですね。
『夏、85』のヨットシーン、私も『太陽がいっぱい』を思い出しました!『マイ・プライベート・アイダホ』は観てませんが、オマージュ的なシーンかもしれませんね。
ビノシュも際どい役が多く、不本意だったようですが、有名な仏女優の多くは脱いでいると思うと、脱がない女優は本物じゃない風潮があるのかもしれないですね。『The New Pope』のセシルとリュディヴィーヌが脱いでいたのを見ると、ビノシュの発言は今更感がありますが、そこには個人差があり、彼女は”仏女優が持つ矜持”と相容れなかったのかもしれないですね。断れなかった彼女が可哀想に思えました。それでも仏国を代表する大女優で、今後は納得のいく作品に出演できるといいなと思いました。是枝監督に制作を持ち掛けたのは彼女でした‼
仏女優の矜持の上を行くのはイザベル・ユペールですね。彼女の役はかなりセンセーショナルで度肝を抜かれますが、汚れ役というより、その堂々とした様に神々しさすら感じます。尊敬されている女優さんではないかと思います。
まれ
Date2020.08.01 (土) 23:29:32
Nickさん、ソフィー・マルソーのファンでしたかっ‼ ”うるさい”などと書いてしまい失礼しましたm(__)m 『ラ・ブーム』で一躍有名になりましたが、普通の女の子が良かったのでしょうか?笑 wikiによりますと、本人も認めるところのアジア系というのも人気の理由のようですね。ただ、その後の作品では早口でまくし立て、しかも、そういう役柄ばかりで”うるさい”女優枠に・・・笑
先日も『三銃士』が放映されており、歴史物語なので観ようかと思いましたが、彼女の騒がしさにうんざりして止めました・笑 Nickさんの”彼女が決定的な作品に恵まれなかった”評は流石です。制作サイドの問題なのか、彼女の良さが生かされてないのか・・・というか、やはり、彼女は”騒がしい”女優だから、それなりの作品に出演し、私は好きではないのかもしれません・・・すみませんm(__)m 浅野温子さんに似ているかも? 見た目は大好きな女優さんですが、演技が”うるさい”・・・笑 仏国でも、国を代表する女優さんのようですが・・・。
『名探偵ポワロ』はテレビドラマシリーズを暇な時に観てまして、トリックの解説になると、それまで見ていた映像から推理できるようなレベルではなく、詐欺感が否めず、見なくなりました・笑 読者や鑑賞者が想像だにしない複雑怪奇な展開が面白いと思える人は楽しめるのかもしれないですね。『アクロイド殺し』もその手の一冊かもしれませんが、こちらの奇抜ないアイディアは称賛されるべきと私も思いますm(__)m笑
Nick
Date2020.08.09 (日) 00:11:37
この話の解釈は様々あるみたいですね。
希望というもの自体もどちらとも取れる曖昧なものですし。
「望みがある」と考えるか、「望みはない」と考えるかは人それぞれなのかもしれませんね。
それによって希望になるか絶望になるのかが分かれるということでしょうか。
シャーロット・ランプリングは『地獄に堕ちた勇者ども』にも出てましたね。
さすがに若かったですね、このころは。
昔一度観たきりなのでまた観てみたいです。
ナチスの扮装で裸で踊る『愛の嵐』も有名ですが、
『地獄に堕ちた勇者ども』のほうがさらに前の作品だから若いのも当然かもしれません。
シャーロット・ランプリングは老いても風格を漂わせてるような気がしますね。
だから未だに出演作が絶えないんでしょうね。
>脱がない女優は本物じゃない風潮
そうなのかもしれませんね、フランスでは。
イザベル・ユペールは確かに色々きわどい役をやってますが、
尊敬されている女優という点ではまさにその通りだと思います。
最近の『エル ELLE』もそうですが、『ピアニスト』の役柄も衝撃的でした。
『主婦マリーがしたこと』ではギロチンで処刑される女性を演じてましたね。
この女性がフランスで最後のキロチン処刑だったとか。
堕胎の仕事をしたからという理由ですが、
第二次大戦のころまでギロチン処刑が行われていたことに驚きました。
堕胎に対する考え方も今では考えられないような気がしますが、
これもカトリックの影響ということかもしれませんね。
Nick
Date2020.08.09 (日) 00:12:57
その意味では日本では親近感を持たれるのかもしれません。
私は浅野あつこよりは石野真子だと思ってました。
たれ目っぽい感じが。
『ラ・ブーム』『ラ・ブーム2』のときは普通っぽい感じでしたね。
『アンナ・カレーニナ』は役柄は良かったのかもしれませんが、
映画としてはそれほど印象には残ってません。
ただソフィー・マルソー自身も「今までいただいた役のなかでは最高のもの」と語っているだけあって、
とてもキレイに撮られてました。
ソフィー・マルソー自身は「ジャンヌ・ダルクをやりたい」と言っていたようですね。
とはいえ十代で死んでしまった人を演じられる時期は限られてますから、
実現しなかったみたいですね。
『名探偵ポワロ』は詐欺っぽいですか。
ミステリーは匙加減が難しいのかもしれませんね。
『オリエント急行殺人事件』も全員が犯人ってオチは詐欺みたいなものなのかもしれません。
しかし理由付けによって何となく納得してしまったような気がします。
まれ
Date2020.09.01 (火) 20:07:34
そういえば、『愛の嵐』のナチス扮装の女性はランプリングでしたね、すっかり忘れてました。映画はみていませんが、有名な一場面ですね。ランプリングも大胆な役を演じていて、その点でイザベル・ユペールは彼女を追随する女優さんのような気がしてきました。
最新作『ポルトガル、夏の終わり』のレビュー拝読しました。いつ頃制作された映画なのかとwikiをチェックしましたら、Nickさんが記述された3作、既に衝撃的な役でしたが、2004年の『ジョルジュ・バタイユ・ママン』で10代息子と近親相姦の母親役を演じたそうで、、もう、これ以上はない位の役を演じてますね 笑
ギロチン刑、仏国では20世紀の中旬まで行われていたとは驚きです。キリスト教的に堕胎は罪でしょうが、革命を成功させた仏国では女性の解放運動も必然的に起こり、68年に堕胎合法化、ピルの無料化から一気に近代化したようですね。その歴史は知らない世代へ、妊娠を含めた女性の自立が困難だった時代を描いたのかもしれませんね。奇しくも、娼婦役のマリー・トランティニャンは2003年、恋人のDVで命を落としてしまったんですよね。
男女平等が確立されていると言われる北欧の国ですが、それ故、DVが横行しても表沙汰にならない(女性が恥と思っている)闇を抱えているという記事を目にし、ショックでした。
まれ
Date2020.09.01 (火) 20:10:27
『アンナ・カレニ―ナ』、そういえばテレビで観ました。良くある上流階級の不倫話と思い、それ以外の印象がありませんが、それは私の読みが浅かったからでした・苦笑 ジャンヌ・ダルク役、似合っていたのに残念でしたね。後に、リュック・ベッソン監督が映画化しましたが、主演はミラ・ジョボヴィッチ。監督作品を鑑みると、斬新な作品が多く、仏女優のマルソーが演じることはなかったのでしょうね。
メル・ギブソンの『ブレイブ・ハート』で仏王妃の役を演じており、私的には当たり役だった気がしてます。ただ、メル・ギブソンが主役なので、彼女の代表作というわけではないですかね。オゾン監督との最新作は観たいと思っています。代表作になるといいですね。
仰る通り『オリエント急行殺人事件』も相当詐欺な物語ですね 笑 でも、結末にとても感動しました。推理不可能という点では他作品と同じなのですが、現場、関係者、全てが揃っていても、予想不可能な結末が、逆に、正当な(笑)ミステリーと思えたのかもしれません。原作はフーヴァー率いるFBIが米国で台頭するキッカケとなった『リンドバーグ幼児誘拐事件』をヒントにしたのを知っていたので、『J・エドガー』でこの事件が登場し、より印象深い作品になりました。
Nick
Date2020.09.19 (土) 14:00:30
人によって使い方が異なるのかもしれません。
『ジョルジュ・バタイユ ママン』は初耳です。
かなりスキャンダラスな役ですね。
実際そんなことが近親相姦があるのかはわかりませんが……。
父親が娘に手を出すというパターンはありそうですが、
逆のパターンは珍しいですね。
まれさんがおっしゃるように
『主婦マリーがしたこと』は、女性の自立が描かれていました。
堕胎の手助けもその一つということになるかと思いますが、
カトリックのフランスでは許されないということなんでしょうね。
ギロチン刑の話は最後に字幕で示されるだけなんですが、
結構ビックリしました。
ついこの前までやってたとは。
脇役を演じていたマリー・トランティニャンがDVで亡くなっていたのは初めて知りました。
あのジャン=ルイ・トランティニャンの娘さんだということも初めて知りましたが。
DVが表沙汰にならないのは、
相手に対して愛情があるとかではなく、
恥なんですね。
そんな相手を選んでしまったことを恥じるんですかね。
恥は日本の文化みたいな話もありましたが、
そんなこともないみたいですね。
Nick
Date2020.09.19 (土) 14:01:37
王妃ということで気高い感じで撮られていた印象があります。
その意味では美しく撮られていましたが、
でもやはり脇役だったような気もします。
ウィキなんかで調べると主演作もあるようですが、
日本で劇場公開されるようなものはないみたいですね。
一部でDVDスルーとかで見られるようではありますが……。
『オリエント急行殺人事件』はまさかの「全員が犯人」ってのは驚きでした。
アガサ・クリスティは『アクロイド殺し』のトリックも驚きでしたが、
それまで誰もやらなかったことをやっているんでしょうね。
『オリエント急行殺人事件』は「リンドバーグの誘拐事件」がきっかけだったんですね。
肝心の「なぜ殺したか」という部分はすっかり忘れてました。
とにかくみんなで刺していったところは鮮明に覚えているんですが。