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『シェイプ・オブ・ウォーター』 様々な愛の形

 『パンズ・ラビリンス』『パシフィック・リム』などのギレルモ・デル・トロの最新作。
 アカデミー賞では作品賞・監督賞など4部門を受賞した。

ギレルモ・デル・トロ 『シェイプ・オブ・ウォーター』 アカデミー賞作品賞を受賞した作品。きれいなグリーンの色合いが印象的。


 政府の研究施設で清掃員として働くイライザ(サリー・ホーキンス)は、アマゾンの奥地から連れてこられた不思議な生き物を目撃し、それに興味を抱く。その生き物は施設の研究材料とされ、警備主任のストリックランド(マイケル・シャノン)はそれを目の敵にしていた。

 半魚人のような生き物と人間の女性の恋物語。そんなふうに要約すると聞こえはいいのだけれど、ディズニーの『美女と野獣』のようなおとぎ話とは趣きが異なる。ギレルモ・デル・トロは『美女と野獣』のラストが気に入らなかったようで、野獣がハンサムな王子様に戻ってしまったら意味がないじゃないかと考えているようだ(「見た目なんか関係ない」って話だったはずだから)。
 『シェイプ・オブ・ウォーター』では半魚人は半魚人のまま女性と愛し合うことになるわけだけれど、人間の側のイライザもお姫様というわけではない。イライザは夜勤で働く中年女性で、夜になると目覚め、朝方仕事から帰ってくるという生活をしている苦労人なのだ。しかも目覚めたあとには風呂で自慰に耽るのを習慣にしている。そんなわけでディズニー作品の主人公とは相容れないようなキャラクター造形なのだ。

イライザ(サリー・ホーキンス)は半魚人と恋に落ちる。

 私自身はモンスター映画には不案内なので、『シェイプ・オブ・ウォーター』の半魚人を最初に見たときは何となく『河童』(石井竜也監督)のクリーチャーを思い出したのだけれど、実は『シェイプ・オブ・ウォーター』には元ネタがあって『大アマゾンの半魚人』からかなりインスパイアされているようだ。モンスター映画がアカデミー賞作品賞というもの珍しいような気もするけれど、エメラルドグリーンの色合いが印象的な水中撮影は見事だったし、セットなどの美術造形も凝っているところが評価されたということなのだろう。
 ギレルモ・デル・トロが子供のころに観た『大アマゾンの半魚人』が出発点だったとしても、それだけではかなりマニアックな作品というだけになりそうなものだけれど、この作品では主人公イライザの部屋の下が映画館となっていて、古い映画への目配せもある。イライザは生まれ持った声帯の傷のために言葉をしゃべることができないという設定で、その相手となる半魚人も人の言葉を解しないために、サイレント作品のような雰囲気も持ち合わせている。それからイライザの周囲には、ゲイの画家ジャイルズ(リチャード・ジェンキンス)とか、黒人の同僚ゼルダ(オクタヴィア・スペンサー)など、マイノリティの人たちを配置して多様性にも配慮しているようなところもある。そんなあれこれひっくるめてアカデミー会員にウケたということなのかもしれない。
 個人的な感想を言えば、芸術点が高いのはもちろんわかるのだけれど、なぜかあまり琴線に触れなかったというのが正直なところ(アカデミー賞を争った作品のなかでは『スリー・ビルボード』のほうが好み)。半魚人に対する思い入れというものに欠けるからだろうか。
 一方で主役のイライザを演じたサリー・ホーキンスはとてもよかった。『ハッピー・ゴー・ラッキー』などでも白痴すれすれの無垢さを感じさせる人で、イライザにもストリックランドに虐待される半魚人を放っておけないという人のよさが感じられた。それが男女(?)の行為にまで発展していくところも無垢さがあればこそということだろう。タイトルは“水の形”とされている。水は入れ物次第でどんな形にでもなるわけで、それと同様に愛にも様々な形があるということなのだろう。

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Date: 2018.03.09 Category: 外国映画 Comments (0) Trackbacks (4)

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