『青いソラ白い雲』  「そのうちなんとかなるだろう」という希望のあり方

 金子修介監督は、ガメラシリーズだとか『デスノート』みたいなメジャー系の作品のイメージもあるが、『青いソラ白い雲』はごく限られた予算と10日の撮影期間で作られた小品。震災の約1年後に劇場公開され、先月DVDが発売となった。

タレント森泉の妹・森星はモデルだそうな それも納得の立ち姿

 震災が題材とはなっているが、女子高生の成長物語でもある。とてもかわいらしい作品だ。ヒロインの森星モリ ヒカリがかわいらしいということもあるが、作品がかわいらしい(突っ込みどころも多いけど、この際目をつぶろう)。それでいて震災後の日本の一側面を描く批評性も兼ね備えている(“批評性”という言葉は監督自身のブログから)。

 3月11日には海外にいたリエ(森星)が、震災後しばらくして日本に帰ってくると、日本の状況は一変している。昨日予想していたことがまったく通じない世の中になっている。絵に描いたようなセレブだったリエだが、親の会社の倒産もあって住む家も失い路頭に迷うことになるが……。

ヒロインの森星 震災前は能天気に笑っていられたが……

 リエは「日本人は助け合わなきゃ」という合言葉を何となくうさんくさく聞いている。急にボランティアに目覚めた元彼には「助け合わなきゃ」ということで被災犬を押し付けられるし、助けるふりをして騙す輩もいるからだ。どうにか転がり込んだ友達の家でも「助け合わなきゃ」という名目で人が集まってくるが、結局取り繕っていた嘘がすべて露呈してしまう。
 「みんなくだらない嘘つきすぎ。政府やマスコミ報道と同じ。ここは嘘つきハウスじゃん」とリエは批判するのだけれど、そんなリエにも嘘はある。海外から戻ってきたのは母親たちとの関係がうまくいかずに家出してきたからだし、元義父が詐欺容疑で逮捕されて路頭に迷ったことも黙っていたのだから。
 このあたりのシークエンスがとても楽しい。いざこざが起きて登場人物の嘘が次々にばれていくのが、テンポよく追われている。みんなの嘘が明らかになってしまうのに微笑ましいのは、観客に感じられるのがホントの部分もあるということのほうだからだ。それぞれが何かしらの嘘をこしらえているが、それは特段誰かを陥れるためではなく、震災後に急変した状況下でやむを得ずのこと。「助け合わなきゃ」という合言葉も、嘘くさい部分はあるわけだけれど、必ずしもそれが全部嘘でないこともまた確かなのだ。

 題名の「青いソラ白い雲」は、無責任男・植木等「だまって俺について来い」の歌詞から。

 ぜにのないやつぁ
 俺んとこへこい
 俺もないけど 心配すんな
 みろよ 青い空 白い雲
 そのうちなんとかなるだろう


 この映画で問題が解決するわけではないけれど、無責任と責める気持ちにもなれない。ラストでリエが歌う表情を見ていると「そのうちなんとかなるだろう」という気がやっぱりしてくる。『青いソラ白い雲』はそんな映画だ。

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Date: 2013.01.04 Category: 日本映画 Comments (0) Trackbacks (0)

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