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『悪と仮面のルール』 悪を理解するための思考実験?

 原作は中村文則の同名小説。この小説はウォール・ストリート・ジャーナルの「ザ・10ベスト・ミステリーズ」にも選出された。
 監督の中村哲平はミュージックビデオ、CMなどを手掛けてきた人とのこと。
 
中村哲平 『悪と仮面のルール』 顔を変えて新谷と名乗る主人公を演じるのは玉木宏。

 自分の息子に地獄を見せ、純粋な「悪」として育て上げるというかなり荒唐無稽な設定。
 なぜこんな設定が必要とされているのか。映画では主人公新谷(玉木宏)と同じ家系に連なる伊藤亮祐(吉沢亮)との会話に、そうした設定を選んだ理由が垣間見られるような気もする。それはわからなくはないし、決して嫌いではないのだけれど、それでもやはり荒唐無稽さは拭えないというのが正直なところ。

 中村文則の原作小説のなかには一度だけドストエフスキーという名前が登場するし、『カラマーゾフの兄弟』のなかに出てくる「すべては許されている」という言葉も流用され、ドストエフスキーの影響下でこの小説が書かれているということが推測される。
 ちなみにトルストイは死ぬ間際に『カラマーゾフの兄弟』を読んでいて、会話が不自然だとか、ダラダラしているとか、散々文句を言いつつも、「ドストエフスキーが愛読される秘密がわかった、立派な思想を持っているからだ」と日記にしたためていたのだとか(山城むつみ『ドストエフスキー』という本にそんなエピソードが書かれていたような気がする)。
 『悪と仮面のルール』という作品もそんな意味では大切なことを扱っているのかもしれないのだけれど、荒唐無稽な設定の方ばかりが気になってしまう。多くの人は善良だからたまさかに現れる「悪」というものが理解できない。だからこそ絶対悪みたいな設定も登場してくるのかもしれないのだけれど、悪のために悪を為すかのような人間にリアリティがあるとは思えなかった。
 新谷が身を削って守ることになる香織を演じる新木優子はお人形さんのように可愛らしい。ただあんなに危険に晒されているにも関わらず、屈託なさすぎなんじゃないだろうか? 幼いころに性的虐待めいたことをされているはずなのに……。

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Date: 2018.01.21 Category: 日本映画 Comments (0) Trackbacks (0)

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