『アランフエスの麗しき日々』 唐突な世界の終わり?

 監督・脚本はヴィム・ヴェンダース
 原作はペーター・ハントケの戯曲『アランフエスの麗しき日々―夏のダイアローグ』
 『ベルリン・天使の詩』『まわり道』などのふたりのコラボレーションは本作で5作目。

ヴィム・ヴェンダース 『アランフエスの麗しき日々』 男(レダ・カテブ)と女(ソフィー・セミン)の会話劇。

 冒頭ではパリの街が映される。誰もが知っている凱旋門だとかエッフェル塔といった観光地も登場するものの、そこには人の姿はまったくない。この場面で流れるのはルー・リードの名曲「パーフェクト・デイ」。
 空は気持ちよく晴れ上がり、鳥のさえずりと風が木々を揺らす音が聞こえる。そんな完璧な日、夏の日差しのなかガーデンテーブルに陣取った男(レダ・カテブ)と女(ソフィー・セミン)が会話を始める。話題としては女の初体験から始まり、スペイン王室の夏の離宮だったというアランフエスという場所についてなど様々。それはどこに行き着くということもなく続いていく。

 大音量の「パーフェクト・デイ」を聴きながら遠くにパリを望む風景を目にするのはとても心地よいのだけれど、延々と続いていく会話の向かうところがまったく見当もつかないとなると、次第にペーター・ハントケという原作者は一体どんなつもりでこんな戯曲を書いたのだろうかという気持ちになってくる。
 ちなみに映画のあとに戯曲のほうも確認してみたけれど、じっくりと読んでみても映画と同じように何が語られているのか判然としないというのが正直なところ。戯曲の訳者解説にはこんな説明もあった。ハントケの言葉は「物事を覆い隠し、私たちの目を塞ぐ」。しかしまたその言葉は「私たちの目を開き、ものを見させてくれる」ものでもある。語られる言葉を素直に追えば理解できるというものでもないらしい。
 この映画で語られる言葉は何を覆い隠し、そして何を見させてくれたのだろうか。脚本も担当したヴェンダースがそんなことを考えたかはわからないけれど、ヴェンダースはこの映画に戯曲を書くハントケ自身のような映画オリジナルのキャラクターを付け加えている(演じるのはイェンス・ハルツ)。
 このキャラは何もない庭を眺めつつ、タイプライターを叩き、男と女を創造していく。このキャラ次第で原作戯曲のヴェンダースなりの解釈が垣間見られたのかもしれないのだが、このキャラも時々立ち上がってはジュークボックスの音楽をかける程度の役割しか果たしていないようにも思えた。
 ヴェンダースのために一応擁護しておけば、前作『誰のせいでもない』と同じようにこの映画は3D作品として撮影されたものらしい。今回の上映は2D版となっているために本来意図したものとはなっていないのかもしれない。

アランフエスの麗しき日々―夏のダイアローグ


ヴィム・ヴェンダースの作品
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Date: 2017.12.26 Category: 外国映画 Comments (0) Trackbacks (0)

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