『スパイダーマン:ホームカミング』 スパイダーマンの青春時代
『スパイダーマン』のリブートだが、今回は『アイアンマン』などのMCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)の1作品となっていて、アイアンマンやキャプテン・アメリカなどのアメコミ・ヒーローとの絡みも。

実は『アベンジャーズ』などのMCUを見ていないので途中参加に心配していたのだけれど、サム・ライミ版の『スパイダーマン』シリーズは見ているし、子供のころにテレビでやっていた巨大ロボを操る日本版のスパイダーマンは見ていた(あれは一体何だったのだろう)ので、設定等は何となくわかっているからそれほど違和感もなく『スパイダーマン:ホームカミング』も楽しめた。
今回のピーター・パーカー(トム・ホランド)はかなり若い。まだ15歳の高校生という設定なのだ。ヒーローとして働きたいけれど今はまだ見習い中みたいなもので、アベンジャーズにお呼びがかかることもなくひとりで突っ走ってしまう。身体能力もあるし正義感もあるのだけれど、若さゆえかやることなすこと失敗ばかりなのだ。
サム・ライミ版が確立させたニューヨークの摩天楼を飛び回る爽快感を受け継ぎつつも、高い建物のない郊外では能力が発揮できずに愚痴を言いながら走っていくほかないというズッコケぶりがかわいらしい。ヒーローのつもりが騒ぎを大きくして父代わりのアイアンマンに助けてもらうピーターはまだまだ未熟者で、この作品はピーターの成長物語となっている。そして、まだ学生でもあるピーターの青春を描く作品でもある。

途中で『フェリスはある朝突然に』が引用されている部分があるけれど、この作品は80年代に多くの青春映画で人気を博したジョン・ヒューズ作品がかなり意識されているようだ。ピーターが居残りをさせられる場面は『ブレックファスト・クラブ』を思わせなくもないし、この作品のピーターとリズ(ローラ・ハリアー)の関係が、「庶民とセレブ」という関係となっているのは『プリティ・イン・ピンク/恋人たちの街角』(ジョン・ヒューズ脚本)とも似てなくもない。最後に「ホームカミング」と呼ばれるパーティが用意されているあたりも青春映画っぽい趣きだった。
今回の敵役バルチャーとなるのはマイケル・キートン。トニー・スターク(=アイアンマン)に仕事を奪われてしまい、仕事仲間や家族を養うために悪事に手を染めることになる。決して大それたことはせず、夜陰に紛れて仕事をし、こっそり稼ぐ。悪役としては小物で、最後にはちょっといい奴なのかもしれないと思わせるあたり、『ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ』でも英雄なのか怪物なのかわからない微妙な線を演じていたマイケル・キートンらしい役柄だった。
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