『過激派オペラ』 SNSよりは暑苦しい

 劇団「毛皮族」主宰の江本純子の初監督作品。
 初日の舞台挨拶には江本監督以下、早織、中村有沙、桜井ユキ、森田涼花、佐久間麻由、後藤ユウミ、石橋穂乃香、今中菜津美、遠藤留奈、増田有華といった女優陣も登壇して華やかだった。
 そのほかにも趣里、高田聖子、安藤玉恵なども顔を出している。

江本純子 『過激派オペラ』 重信ナオコ(早織)は主演女優の岡高春(中村有沙)と同棲するようになり……。


 劇団「毛布教」を主宰した重信ナオコ(早織)は、初上演作「過激派オペラ」のためにオーディションを開催する。重信はオーディションに現れた岡高春(中村有沙)に心を奪われ、彼女を主演に据えて舞台稽古を開始する。

 監督を務める江本純子の劇団「毛皮族」はアングラ劇団のひとつに数えられるそうで、「テロエロ歌劇」などと解説されたりもするようだ。この初監督作品は江本監督の処女小説『股間』の映画化で、映画のなかの劇団「毛布教」は現実の劇団「毛皮族」をモデルにしているのだろう。ちなみに劇中には戸川純「好き好き大好き」という曲が使われていて、この選曲からもセンスが伝わるだろうか。

 冒頭から稽古場の床を転げ回るような女同士のカラミが展開する。それでも「エロ」というよりはプロレスのキャットファイトの類いのようにも見え、たとえば『アデル、ブルーは熱い色』みたいに濃密な女性同士のラブシーンを描くという印象ではない。『過激派オペラ』は、女たらしの演出家・重信が、その権威を利用して近づいてくる女優たちとのカラミを楽しんでしまうというコメディなのだと思う。重信は見た目も男っぽいが、やっていることも男のよう……。主演女優の岡高に「1回だけ、お願い」と泣きつくのは、哀れな男がいかにも言いそうな台詞で笑える。

『過激派オペラ』 初上演作「過激派オペラ」のときの舞台はこんな感じ。

 主人公の「重信」という名前は日本赤軍の重信房子から採られているのだろうし、初上演作「過激派オペラ」のなかではヘルメットにゲバ棒といった学生運動めいた格好も見せている。そしてそれを捉えた映像にも古臭いものを感じる(撮影は中村夏葉)。ただ、それを演じる若い女優たちは革命などとはまったく無関係で、騒ぐための口実としてそうした舞台設定が整えられているだけのように見える(映画のなかで演じられる「過激派オペラ」がどんな内容なのかはさっぱりわからないし)。演出家の重信にしても結局のところ仲間集めのために劇団をやっているところもあるようで、道具立ては古臭いけれど中身はそれほど古くはない。SNSの代わりに劇団があるということなのだろうと思う。ちょっとだけSNSよりは暑苦しいけれど……。
 舞台挨拶では演劇の「現在進行形」の部分を映画に取り入れられればといったことを口にしていた江本監督。劇中にはカサヴェテスの名前が登場したりもするし、即興的なものを取り入れているのだろうと思う(ベルイマンの『第七の封印』のDVDもちょっと顔を出したような)。ほとんど初めて見る顔ばかりの若い女優陣ばかりだったが、誰もが何かしら身体を張っている。そんな女優陣の熱量が如実に伝わってくる作品となっていたと思う。

股間


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Date: 2016.10.03 Category: 日本映画 Comments (0) Trackbacks (0)

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