『セルフレス/覚醒した記憶』 SFとアクションと家族愛の感動を

 監督は『ザ・セル』などのターセム・シン
 主役には『デッドプール』のライアン・レイノルズ

ターセム・シン 『セルフレス/覚醒した記憶』 “脱皮”して新しい身体を手に入れる。手前がライアン・レイノルズ。


 「NYを創った男」と称えられるダミアン(ベン・キングズレー)は余命幾ばくもない。金で手に入る物はすべて揃っているダミアンだが、娘との関係はうまくいっていない。そのあたりでこの世に未練があったのか、ダミアンは“脱皮”というあやしげな方法を試してみることになる。“脱皮”は成功し、ダミアンは新しい身体を手に入れるのだが……。

 オルブライト(マシュー・グード)がこっそりと秘密のラボで行っているのは、古い身体を脱ぎ捨てて新しい身体に移行するというビジネス。新しい身体を手に入れてエドワードという名前で生活を始めた主人公は、若さを謳歌することになるわけだけれど、オルブライトから渡された薬を飲み忘れると幻影を見ることになる。
 その幻影に現れる場所を辿っていくと、そこでは主人公が手に入れた新しい身体の前の持ち主マーク(ライアン・レイノルズ)が住んでいたらしいことがわかる。ラボで培養された身体だと聞かされていた新しい身体は、実は妻と娘もいるマークという男性のものだったのだ。

 ※ 以下、ネタバレもあり!

『セルフレス/覚醒した記憶』 マーク(ライアン・レイノルズ)は家族とともに組織に追われることになる。妻役のナタリー・マルティネスのハスキーすぎる声がちょっと気になる。

 別の人間の身体のなかにダミアンという人間の記憶を移行する。そして元の身体にある意識は薬で制御するというのが、オルブライトがやっているあやしいビジネスの実態だったのだ。記憶を転送する装置がMRIみたいでそっけないのも気になるけれど、科学的な説明もかなりおざなりで、とりあえず電気を流すと記憶が転送されるという何だかよくわからないシステムになっている。
 原題の「Self/less」からは「自己とは何か」みたいなものを感じさせなくもないのだけれど、そうしたテーマに深入りすることはない。『ザ・セル』などでは独自の凝った映像表現をしていたターセム・シン監督だが、この『セルフレス/覚醒した記憶』ではわかりやすいエンターテインメントに徹している。その分、独自性は感じられず、どこかで見たようなあれこれが目立つ作品となっていたと思う。

 マークは元軍人で、追っ手から逃亡するために戦うと、身体が覚えている殺人術があっという間に追っ手をなぎ倒す。これは『ボーン・アイデンティティー』シリーズで記憶を失ったジェイソン・ボーンが自然と敵を倒していくのとそっくり。
 マークが死んだと思っていた妻(ナタリー・マルティネス)にとっては、マークの身体が誰かに乗っ取られていることになるわけで「ボディ・スナッチもの」にも感じられる。ひとつの身体にふたつの魂というのは『ザ・ホスト 美しき侵略者』にもあったけれど、マークの意識は薬で抑えられているから『ザ・ホスト』みたいに身体のなかでふたつの意識が会話したりはしない。ただ、せっかく新しい身体を手に入れたのに主人公がやることは、マークの意志を引き継いだことばかりのような気もする。
 それからオルブライトと対決する場面のアレは、ロベール・アンリコ『追想』とそっくりだった。

 娘アナのために身体を売ったマークという男と、娘に謝ることができずに新しい身体を手に入れたダミアン。どちらも家族との関係が重要となっていて、その部分には感動させられるのだけれど、『ボーン・アイデンティティー』に引きずられてか中途半端なアクションに流れていくところが難点だろうか。
 ベン・キングズレーが演じたダミアンが住んでいるマンションはいかにも金ピカ。その趣味はともかくとしてすべてを手に入れた男の豪邸を感じさせるのだが、これはドナルド・トランプ氏のマンションを借りて撮影したのだとか。さずがにベン・キングズレーはその豪華さにも引けをとらない雰囲気がある。

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Date: 2016.09.04 Category: 外国映画 Comments (0) Trackbacks (8)

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