『セトウツミ』 永遠のモラトリアム?

 原作は現在連載中の同名マンガ。
 監督は『まほろ駅前多田便利軒』『さよなら渓谷』などの大森立嗣

セトウツミ

 元サッカー部でお調子者の瀬戸(菅田将暉)とクールでインテリの内海(池松壮亮)のふたりが、代わり映えしない河辺でただしゃべるだけ。それだけなのだがなぜかおもしろい。
 ふたりの名前を並べると「セトウツミ」だが、漢字で書くと「瀬戸内海」。そんなふたりが河辺に留まり続けるのは、社会という海に出る前の半端な状況でありモラトリアムということなんだろう。内海は塾通いまでの空いた時間をつぶすために、瀬戸は部活を辞めてしまった退屈しのぎのために、放課後をしゃべるだけで何となく過ごしている。瀬戸には樫村一期(中条あやみ)という片想いの女の子がいるけれど、その樫村は内海のことが気になっていて……。そんな三角関係があったりしても結局は無駄話ばかりで青春の時は過ぎていく。

 マンガを試し読みすると、セリフはほぼそのまま使っていることがわかる。マンガの愛読者には映画版のキャラに違和感を抱く人もいるのかもしれないけれど、映画版を先に観た者としては、役者ふたりの生み出す“間”とかテンポのいい掛け合いとかがあまりにはまっていてすんなりとその世界に入り込めた。意味不明な遊びを持ち出してくる瀬戸と、乗り気でないようでいてそれに付き合って意外と楽しんでいるらしい内海のコンビがとてもよかったし、タンゴ風の音楽もクセになる。
 この作品は75分と短いけれど、続編も期待できそう。予告編として本編には入ってないネタがいくつか公開されている。『ちびまる子ちゃん』のまる子が永遠に小学3年生であるように、瀬戸と内海はいつまでも高校生であり続け、永遠に河辺でしゃべり続けそう。原作マンガは6巻が今月刊行予定とかで、いくらでも続編用のネタはあるんじゃないかと思う。
 印象としては東宝系の映画館でやっている『紙兎ロペ』とよく似ている。この『セトウツミ』は松竹系の映画館で公開していたが、松竹はこれを幕間上映なんかで使わせてもらえばシリーズ化にもつながるし宣伝にもなるかもしれない。松竹は歌舞伎の印象も強くてちょっと堅苦しいイメージだし、たまにはこんなのがあってもいいかと思う。



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『セトウツミ』原作マンガ
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Date: 2016.07.06 Category: 日本映画 Comments (0) Trackbacks (1)

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2016.07.20

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