『ターミネーター:新起動/ジェニシス』 シュワルツェネッガー復活で再出発の第5作

 『アバター』『タイタニック』ジェームズ・キャメロンの出世作『ターミネーター』シリーズの最新作。
 今回は5作目となるわけだが、第4作には一部顔を見せるだけだったアーノルド・シュワルツェネッガーが復活して、新シリーズとなる予定とのこと。

『ターミネーター:新起動/ジェニシス』 復活したシュワルツェネッガーのT-800とエミリア・クラーク演じるサラ・コナー。

 第1作目『ターミネーター』ではシュワルツェネッガーは悪役だった。2029年、人類に反乱を起こしたスカイネットという人工知能に世界は支配されていた。しかし、人類はジョン・コナーという指導者の下に抵抗軍を組織する。人類の救世主ジョン・コナーをこの世から消すために、スカイネットはジョンの母親サラ・コナー抹殺を画策し、1984年にターミネーター(シュワルツェネッガー)を送り込む。しつこいくらいにサラ・コナー追ってくるターミネーターに、ハラハラドキドキさせられっぱなしの作品だった。
 前作よりもスケールアップした第2作『ターミネーター2』では、シュワルツェネッガーがその後に人気者となったことも影響してか、ターミネーター(T-800)はプログラミングを書き換えられて善玉になる。サラ・コナーを守る側に回ったT-800が、新たな刺客T-1000を迎え撃つ。液体金属性T-1000はほとんど無敵で、これまた手に汗握る作品で、シリーズ最大のヒット作となった。

 最新作『ターミネーター:新起動/ジェニシス』では、この2作品をリブートしたような内容になっている。第1作でターミネーターとそれを追ってくるカイル・リースのタイムトラベルシーンを忠実に再現している。1作目とまったく同じところに戻ってくるわけだが、そこからが違う。突如として現れたもう一体のやや年老いたT-800が、もう一体の邪魔をするのだ。30年前のシュワルツェネッガーと、今のシュワルツェネッガーの戦いという、夢の対決が実現する。
 この年老いたT-800は、サラが9歳のときに彼女を守るために派遣されたもので、1984年に新しいT-800が来るまで待っていたらしい。ここではターミネーターの外皮は人間と同じように劣化していくという設定。だからマシンであるはずのターミネーターも、シュワルツェネッガーの年齢に合わせて見た目が変化するという理屈。マシンだって使っていればガタがくるわけで、T-800は「俺は古いが、ポンコツじゃない」と人間っぽいことまで言ってみせる。また、長らく人間社会へ融け込み色々と学んだらしく、妙に科学的な理論を振りかざすインテリ風ターミネーターとなっている(全体的に人間っぽいT-800は幾分コミカルな印象に)。
 そして新サラ・コナー(エミリア・クラーク)もかつてのサラ・コナーと違う。9歳のときから未来の救世主の母となるべく、“オジサン”と呼ぶT-800から訓練を受けた女戦士になっている。第1作のサラは何も知らないウェイトレスだったわけだが、こちらの世界のサラは銃器で新しいT-800をやっつけるし、T-1000対策用の罠まで準備している。はじまりは第1作と同じなのだが、途中からパラレル・ワールドに分岐していくのだ。

 ※ 以下、ネタバレもあり!

『ターミネーター:新起動/ジェニシス』 新型ターミネーターのT-3000の最終形態? マンガ『コブラ』のゼロというキャラみたいだった。

 新旧T-800対決はそれほど悪くないし、新たなT-1000(イ・ビョンホン)を意外にあっさりと倒してしまうのも、周到に用意した罠のためと納得しなくもないのだが、そのあとはどうもゴチャゴチャしてくる。
 T-800はタイムトラベル装置まで開発し、舞台は2017年へと飛ぶ。この時代に開発された“ジェニシス”というOSらしきものが、スカイネットの新しい姿ということになっている。それから2017年に飛んだサラとカイルを追って、ジョン・コナー(ジェイソン・クラーク)まで登場する。実はジョン・コナーは新たなターミネーター(T-3000)で、ジョン・コナーはスカイネット側に取り込まれていたのだ。
 ジョン・コナーはスカイネット側に立ち、ジェニシス起動を阻止しようとする要素を排除しようとする。サラ・コナー殺害を命じられているわけでもないのかもしれない(自分の母親なんだし、殺したら自分も消えてしまう?)。そんなわけでジョン・コナーはサラやカイルと会ってもすぐには殺そうとしない。サラを守るT-800とサラ抹殺を狙うT-3000という関係ではないわけで、その後のアクションも派手さはあっても単発に終わり、手に汗握る感じはほとんどなかったと思う。
 それにしてもT-3000=ジョン・コナーは何をしたかったのだろうか? ジョンは一応人間でもあり、マシンと交じり合った何かでもあるらしいのだが、サラとカイルという家族を自分と同じ境遇に誘おうとしているようでもあった。つまり人間がマシンと交じり合うことで新たな進化を遂げるみたいなことを匂わせているようにも思えたのだが……。

 シリーズを振り返ってみれば、キャメロンの撮った第1作と第2作は別格とするとしても、第3作は過去作の踏襲でしかなかったわけで、それを振り切って新しい『ターミネーター』を見せたのが『ターミネーター4』だった。「審判の日」以降のジョン・コナーの活躍を描いた第4作は、その荒涼とした世界観もアクションシーンも今回の第5作よりも数段よくできていたと思う。シュワルツェネッガーが出演していないということもあって、興行成績としては大失敗だったらしいが……。
 このシリーズの顔であるシュワルツェネッガーの動向に影響されてしまうのはやむを得ないとしても、『ターミネーター:新起動/ジェニシス』は元のパターンに逆戻りしてしまったようにも思える。本当に新起動したのは『ターミネーター4』だったのにうやむやになってしまい、今回再起動を図ったということだろうが、先行きはあやしいようにも思える。
 
 新サラ・コナーを演じたエミリア・クラークは妙にかわいらしい。第2作のリンダ・ハミルトンみたいな変身はやらないと思うけれど、強い母親像としてのサラ・コナーになりきれるのか心配にもなる。というかジョン・コナーを産むのかどうかもわからないし。
 ジョン・コナー(ジェイソン・クラーク)は悪役っぽい顔立ちになってしまうし、カイル・リース役ジェイ・コートニーも第1作のマイケル・ビーンと比べるとちょっと残念。マイケル・ビーンはマッチョっぽくなくて、死闘のさなかにもサラ・コナーと結ばれてしまうという設定にも説得力があったと思う。ついでに言えば、『セッション』で大活躍だったJ・K・シモンズも脇役で登場している。今回はいい人だった。

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Date: 2015.07.12 Category: 外国映画 Comments (0) Trackbacks (11)

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