『トラッシュ! この街が輝く日まで』 ゴミの山が宝の山になる

 監督は『リトル・ダンサー』スティーヴン・ダルドリー
 脚本は『アバウト・タイム』リチャード・カーティス
 昨年末にぴあの試写会で鑑賞。劇場公開は本日(1月9日)から。

『トラッシュ! この街が輝く日まで』 スティーヴン・ダルドリーとリチャード・カーティスのタッグによるおとぎ話。


 主人公のラファエルはリオデジャネイロのゴミ山で暮らしている。そこで拾った財布が物語の発端だ。財布にはお金のほかに、IDカード、ポケットカレンダー、少女の写真、ロトカード、コインロッカーの鍵が入っている。次の日、それを捜しに警察が現れたことで、ラファエルはその財布の重要性を悟り、ゴミ山に住む友達2人と共にその謎を探っていくことになる。

 冒頭、少年たちの告白ビデオが流される。少年たちは「この映像を見ているということは、ぼくたちは死んでいるかも」と訴える。財布に秘められたヤバい謎と、その財布を追う警官たちとの追いかけっこもあって、ハラハラドキドキさせる展開で引っ張っていく。
 『アバウト・タイム』では多幸感溢れるタイム・トラベルもので評判となったリチャード・カーティスの脚本は、謎解きにはさほどおもしろみがないし、『アバウト・タイム』と同様ご都合主義の部分もあるのだけれど、ゴミの山が宝の山になるというおとぎ話として楽しめると思う。
 『リトル・ダンサー』『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』でも少年を描いてきたダルドリーは、今回も素人の3人をうまく使っている。『めぐりあう時間たち』のような文学臭さはなく、ゴミ山やリオデジャネイロの迷路のような街を走り回る娯楽作である。

 ※ 以下、ネタバレもあり。

『トラッシュ! この街が輝く日まで』 フェデリコを演じたセルトン・メロ。

 少年たちやその他多くの人々は貧しい生活をゴミ山で送っている。一方でごく一部の政治家は、私利私欲のために汚職に走り豪邸暮らし。さらに警察は庶民の味方ではなく、汚職政治家の用心棒と成り果てている。
 現実のリオデジャネイロにフィリピンのスモーキーマウンテン(今は閉鎖されたのだとか)のような場所が実在するのかは知らないが、貧富の格差はたしかに存在するのだろうし、『トラッシュ!』はそんな現実に対する異議申立ても意図されている。
 少年たちが拾ったのは、正しい行いをしようとする人の残したバトンで、それらは少年たちによって引き継がれ、世間に拡散されることになる。少年たちには揺るぎない正義がある。そして、皆が立ち上がれば、何かが変るというメッセージも真っ当なものだ。
 ただ、貧しい彼らがどうして正義の側に立つことができたのかは、いまひとつわからない。貧しさは不正にも結びつきやすそうだけれど、この映画の少年たちは自らの貧困からの脱出に留まらず、真っ直ぐに正義へと向かうのだ。
 現実においては、政治家はもちろんのこと、われわれは善も悪もどちらの部分もあるわけだけれど、この映画では善と悪とは截然と分かれている。そんな単純な対立は絵空事にすぎないし、現実に“革命”を煽るようなラストもちょっと勇み足な気もした。それなりに楽しめる映画なのだけれど、理想論できれいにまとめすぎたようにも……。

 悪役フェデリコを演じるセルトン・メロはよかった。悪役なのに非情になりきれず、最後には子供たちにゴツンとやられることになるわけで、仕返しも何だかほのぼのとしている。脇にはマーティン・シーンルーニー・マーラもいるが、今回は子供たちの引き立て役に徹している。

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スティーヴン・ダルドリーの作品
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Date: 2015.01.09 Category: 外国映画 Comments (0) Trackbacks (9)

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