『美女と野獣』 教育的で楽しめるミュージカル
監督は『ドリームガールズ』などのビル・コンドン。
主役のベル役には『ハリー・ポッター』シリーズや『ウォールフラワー』などのエマ・ワトソン。

アカデミー作品賞にまでノミネートされたという1991年のアニメ版のほうは観ていないのだけれど、本作はアニメ版がかなり忠実に再現されているようだ(両バージョンを比較した動画が参考になる)。原作のイメージを膨らませて大胆にデフォルメされたアニメ版の野獣のイメージを、そのままそっくり実写版で再現するだけの技術が確立されたということなのだろう。
ちなみに1946年のジャン・コクトー版は高い美意識に貫かれている作品ではあるけれど、その野獣の姿は人間がマスクをかぶっただけのようにも見えてしまうし、燭台や時計が動き出して歌い出すなんてこともなかったわけで、『ジャングル・ブック』などと同様にCGの格段の進歩に改めて感心した次第。
コクトー版のモノクロで格調高いイメージとは違い、本作の野獣(ダン・スティーヴンス)はどこか茶目っ気が感じられるし、作品全体もちょっとだけコミカルな要素も混ぜ込んでいて、誰にでもわかりやすく楽しめる賑やかなミュージカル作品となっている。主人公であるベルも、それを演じたエマ・ワトソンのノーメイクのそばかすもあって、2014年のレア・セドゥ版の艶っぽいベルとは違って、もっと親しみやすい印象になっていたと思う。
それから実は最後まで気がつかなかったのだけれど、燭台から人間に戻ったルミエールはユアン・マクレガーが演じている。だからルミエールの歌った「ひとりぼっちの晩餐会」という曲はユアン・マクレガーの歌声だったということになる。あとになって聴いてみると確かにそうで、ユアン・マクレガーは先日の『T2 トレインスポッティング』に引き続いてまたもや美声を響かせている。
この作品のテーマは「人を見かけで判断してはいけません」という教えなのだろうが、説教臭さを感じさせないエンターテインメントになっている。ちなみに本作では野獣の住むお城に黒人が多かったり、ガストン(ルーク・エヴァンス)に従うル・フウ(ジョシュ・ギャッド)の役柄がちょっと同性愛者のようにも感じられる(それほど露骨ではないのだけれど)。
某国では検閲によって同性愛っぽいシーンをカットしたところ、ディズニーは本作の公開を見送ることにしたとのことで、人種差別や同性愛に対する偏見に対して多様性を認めようというのがディズニーの考えらしい。子供たちが本作を観てもそんなことを感じたりはしないだろうが、自然に多様性という考えが刷り込まれていくかもしれないわけで、まったくもって教育的な作品と言えるだろう。
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