『翔んで埼玉』 逃れられない郷土愛?
原作は『パタリロ!』の作者である魔夜峰央の同名漫画。
監督は『テルマエ・ロマエ』シリーズの武内英樹。
原作は未完らしく、途中からは映画オリジナルのものとなっている。

東京都にすべての権力が集中し、埼玉県などほかの土地の人間は差別を受けているという日本の話。その架空の日本はラジオドラマのなかの話となっていたり、「本作はフィクションで地名は関係ない」と注釈を入れたりしているのは、埼玉県を中心にあちこちをディスっているために反感を買うのを恐れたためか。実際にフタを開けてみれば、埼玉県ではとりわけ人気になっているとか。
埼玉県民は東京都に入るには通行手形が必要で、それがない場合はSAT(Saitama Atack Team:埼玉急襲部隊)に捕えられてしまう。SATが使う武器はドライヤーそのものというバカバカしさ。「バカも休み休みyeah!」というキャッチフレーズの映画があったけれど、『翔んで埼玉』も負けてないかもしれない。ここまでやれば立派とも言えるかも。
主人公の壇ノ浦百美(二階堂ふみ)と転校生の麻実麗(GACKT)のビジュアルは、宝塚の『ベルサイユのばら』のような雰囲気。その学園のスクールカーストは都会指数で決まることになっていて、埼玉県からの移民たちは最下層にいる人たちということになる。
中心にある東京と、その腰巾着のような神奈川県。東京にいい顔をしてその名前を借りている千葉県。「ダサいたま」と皮肉られる埼玉県。秘境の地の群馬県などなど。関東圏の人間が見ればそのネタは身近なものでわかりやすい。ただ、関西圏の人とか、海外の人が見たらさっぱりなんじゃないかとも……。常に世界展開を念頭においているハリウッドなんかとは逆行しているけれど、日本ではご当地云々が流行りだからいいのかも。

ディスり合戦のはずがいつの間にか郷土愛の話ともなっていて、テレビ番組の『秘密のケンミンSHOW』のようでもあった。観客の反応としては劇場でもあまり経験したことのないほどの盛り上がりぶりで、上映終了後には拍手が起きたほどだった。私が観たときにはエンペラー千葉というキャラの部分で一部客席が異様に沸いていたりして、その辺の客席は千葉県民が占拠していたのかもしれない。いろんなネタが詰め込まれているから、毎回違う場所で盛り上がるということもあるのかもしれない。
『七つの会議』のラストではないけれど、幕藩体制の名残が日本人には染み付いていて郷土からは離れられない部分があるのかも。実際の東京人は元田舎者の集まりだし、東京の洗練を気取ってみたりしても借り物でしかないけれど、郷土のことは良くも悪くも我が事のように感じてしまうらしい。だからこその劇場での観客の盛り上がりなんだろう。やはり自分の地元が登場するとそれだけで嬉しくなるものなのだ。地元に関しては、特徴がなくて無視されるよりはディスられるくらいのほうがいいのかも。地元の人は当然その欠点を自覚しているし、笑って許せるような気もするから。



監督は『テルマエ・ロマエ』シリーズの武内英樹。
原作は未完らしく、途中からは映画オリジナルのものとなっている。

東京都にすべての権力が集中し、埼玉県などほかの土地の人間は差別を受けているという日本の話。その架空の日本はラジオドラマのなかの話となっていたり、「本作はフィクションで地名は関係ない」と注釈を入れたりしているのは、埼玉県を中心にあちこちをディスっているために反感を買うのを恐れたためか。実際にフタを開けてみれば、埼玉県ではとりわけ人気になっているとか。
埼玉県民は東京都に入るには通行手形が必要で、それがない場合はSAT(Saitama Atack Team:埼玉急襲部隊)に捕えられてしまう。SATが使う武器はドライヤーそのものというバカバカしさ。「バカも休み休みyeah!」というキャッチフレーズの映画があったけれど、『翔んで埼玉』も負けてないかもしれない。ここまでやれば立派とも言えるかも。
主人公の壇ノ浦百美(二階堂ふみ)と転校生の麻実麗(GACKT)のビジュアルは、宝塚の『ベルサイユのばら』のような雰囲気。その学園のスクールカーストは都会指数で決まることになっていて、埼玉県からの移民たちは最下層にいる人たちということになる。
中心にある東京と、その腰巾着のような神奈川県。東京にいい顔をしてその名前を借りている千葉県。「ダサいたま」と皮肉られる埼玉県。秘境の地の群馬県などなど。関東圏の人間が見ればそのネタは身近なものでわかりやすい。ただ、関西圏の人とか、海外の人が見たらさっぱりなんじゃないかとも……。常に世界展開を念頭においているハリウッドなんかとは逆行しているけれど、日本ではご当地云々が流行りだからいいのかも。

ディスり合戦のはずがいつの間にか郷土愛の話ともなっていて、テレビ番組の『秘密のケンミンSHOW』のようでもあった。観客の反応としては劇場でもあまり経験したことのないほどの盛り上がりぶりで、上映終了後には拍手が起きたほどだった。私が観たときにはエンペラー千葉というキャラの部分で一部客席が異様に沸いていたりして、その辺の客席は千葉県民が占拠していたのかもしれない。いろんなネタが詰め込まれているから、毎回違う場所で盛り上がるということもあるのかもしれない。
『七つの会議』のラストではないけれど、幕藩体制の名残が日本人には染み付いていて郷土からは離れられない部分があるのかも。実際の東京人は元田舎者の集まりだし、東京の洗練を気取ってみたりしても借り物でしかないけれど、郷土のことは良くも悪くも我が事のように感じてしまうらしい。だからこその劇場での観客の盛り上がりなんだろう。やはり自分の地元が登場するとそれだけで嬉しくなるものなのだ。地元に関しては、特徴がなくて無視されるよりはディスられるくらいのほうがいいのかも。地元の人は当然その欠点を自覚しているし、笑って許せるような気もするから。
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