『亜人』 永遠の命を授かったら何をする?
原作は桜井画門の同名コミック。すでにアニメ化もされているらしい。
監督は『踊る大捜査線』シリーズや『幕が上がる』などの本広克行。

“亜人”というのは絶対に死ぬことのない人間の亜種ということらしい。主人公の永井圭(佐藤健)は交通事故で一度は死亡するものの、直ちに生き返り日本国内3例目の亜人であることが判明する。亜人と判明すると日本政府に保護されるというタテマエとなっているのだが、裏では亜人の特殊能力を使って人体実験が繰り返されている。
「人類の進化の鍵を解明するため」などという調子のいい理由のもとに実験は正当化されるわけだけれど、実験材料となる亜人にとっては堪らない。どのみち生き返るからと腕を切断してみたり足を切断してみたりとやりたい放題なのだが、亜人も人と同じように痛みは感じるわけで、死に至る痛みを何度も体験するという地獄のような状況に置かれることになる。
死に対する恐怖というのは自分が存在しなくなってしまうことに対する恐怖でもあるけれど、単純に死に至る苦しみが怖いということでもあるわけで、その恐怖を何度も味わう亜人は何ともかわいそうなばかり。不老不死を求める始皇帝のような気持ちもわからないではないけれど、亜人を見る限りあまりいいことはなさそうに思えてしまう。
原作は読んでないのだけれど、だいぶ端折られているらしい。亜人発生の原因などの前提抜きで、“死なない人間”と“普通の脆い人間たち”とのアクションに展開していくのがスピーディでよかった(後半は亜人同士の闘いとなる)。ゲームのキャラと同じで、亜人は死んだらすべてがリセットされることになる。中途半端にケガをしたりして動きが鈍ったら一度リセットし(=死んで)やり直せばいいということになる。人間側としては動きを止めるために麻酔銃などと応戦するほかなく劣勢が続く。

物語は実験材料となっていた永井を、佐藤(綾野剛)という亜人が助けるところからスタートする。佐藤は人間を殺すことなど何とも思っていない(彼も過去に実験材料となっていたこともあり人類に対しての恨みがあるようだ)。一方で永井は妹の病気を治すために医者を志すような殊勝な若者だから、人類に牙を剥くような佐藤と手を組むことはできずふたりは対決することになる。
亜人になってしまったことを悩むことになる主人公・永井のキャラよりも、前半から飛ばしまくるテロリストのような佐藤のキャラがとても魅力的。とはいえ佐藤は死なないことをいいことに人間を殺しまくる狂気の持ち主で、悪趣味極まりない厚生労働省への飛行機での自爆攻撃など人間の理解の範疇を超えてもいる。
佐藤演じる綾野剛はかなり意図的に大袈裟な台詞回しをしているっぽく、「私はねえ、殺すのが結構好きなんだよ」なんて不気味な台詞もかえって笑えてくる。この作品では亜人は何度も自殺をしているようなものだし、結構グロテスクな部分もあるために、あえてマンガチックにしている部分もあるのかもしれない(最後の最後もそんな感じだった)。原作に対しての思い入れもないしエンターテインメントとしてはそれでいいんじゃないかと思えた。
亜人のなかの紅一点として体を張ったアクションを展開するのは川栄李奈。なぜか厚生労働省の役人・戸崎(玉山鉄二)のボディガードらしきことをしているのだが、戸崎のサドっ気ある態度に惚れ込んでいるような関係がなかなかよかった。





監督は『踊る大捜査線』シリーズや『幕が上がる』などの本広克行。

“亜人”というのは絶対に死ぬことのない人間の亜種ということらしい。主人公の永井圭(佐藤健)は交通事故で一度は死亡するものの、直ちに生き返り日本国内3例目の亜人であることが判明する。亜人と判明すると日本政府に保護されるというタテマエとなっているのだが、裏では亜人の特殊能力を使って人体実験が繰り返されている。
「人類の進化の鍵を解明するため」などという調子のいい理由のもとに実験は正当化されるわけだけれど、実験材料となる亜人にとっては堪らない。どのみち生き返るからと腕を切断してみたり足を切断してみたりとやりたい放題なのだが、亜人も人と同じように痛みは感じるわけで、死に至る痛みを何度も体験するという地獄のような状況に置かれることになる。
死に対する恐怖というのは自分が存在しなくなってしまうことに対する恐怖でもあるけれど、単純に死に至る苦しみが怖いということでもあるわけで、その恐怖を何度も味わう亜人は何ともかわいそうなばかり。不老不死を求める始皇帝のような気持ちもわからないではないけれど、亜人を見る限りあまりいいことはなさそうに思えてしまう。
原作は読んでないのだけれど、だいぶ端折られているらしい。亜人発生の原因などの前提抜きで、“死なない人間”と“普通の脆い人間たち”とのアクションに展開していくのがスピーディでよかった(後半は亜人同士の闘いとなる)。ゲームのキャラと同じで、亜人は死んだらすべてがリセットされることになる。中途半端にケガをしたりして動きが鈍ったら一度リセットし(=死んで)やり直せばいいということになる。人間側としては動きを止めるために麻酔銃などと応戦するほかなく劣勢が続く。

物語は実験材料となっていた永井を、佐藤(綾野剛)という亜人が助けるところからスタートする。佐藤は人間を殺すことなど何とも思っていない(彼も過去に実験材料となっていたこともあり人類に対しての恨みがあるようだ)。一方で永井は妹の病気を治すために医者を志すような殊勝な若者だから、人類に牙を剥くような佐藤と手を組むことはできずふたりは対決することになる。
亜人になってしまったことを悩むことになる主人公・永井のキャラよりも、前半から飛ばしまくるテロリストのような佐藤のキャラがとても魅力的。とはいえ佐藤は死なないことをいいことに人間を殺しまくる狂気の持ち主で、悪趣味極まりない厚生労働省への飛行機での自爆攻撃など人間の理解の範疇を超えてもいる。
佐藤演じる綾野剛はかなり意図的に大袈裟な台詞回しをしているっぽく、「私はねえ、殺すのが結構好きなんだよ」なんて不気味な台詞もかえって笑えてくる。この作品では亜人は何度も自殺をしているようなものだし、結構グロテスクな部分もあるために、あえてマンガチックにしている部分もあるのかもしれない(最後の最後もそんな感じだった)。原作に対しての思い入れもないしエンターテインメントとしてはそれでいいんじゃないかと思えた。
亜人のなかの紅一点として体を張ったアクションを展開するのは川栄李奈。なぜか厚生労働省の役人・戸崎(玉山鉄二)のボディガードらしきことをしているのだが、戸崎のサドっ気ある態度に惚れ込んでいるような関係がなかなかよかった。
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