『劇場霊』 『女優霊』というよりは『クロユリ団地』だった

 『リング』『仄暗い水の底から』などの中田秀夫監督の最新作。
 主役にはアイドルグループAKBの島崎遥香

中田秀夫監督 『劇場霊』 AKBのなかから主役に選ばれた島崎遥香。

 冒頭でいきなり人形が壊されるシーン。芝居がかった感じで男が人形を叩き壊していくのだがその詳細は明らかにされないまま終わり、次のシークエンスでは河原で死んだ女性を刑事が調べている。様子を窺う刑事のわざとらしさが妙だと思っていると、そのシーンは刑事ドラマの撮影で、死んだ女性を演じていたのが沙羅(島崎遥香)という売れない女優だったことが判明する。となると冒頭の芝居がかったエピソードも夢か幻のようなものかと推測してもいたのだが、そんなひねりもなく冒頭で壊された人形に霊が取り憑いて沙羅を襲うことになる。
 人間が肉体という入れ物に魂が入ったものだとすれば、人形もその入れ物としては人間によく似ている。この作品の人形も有名な人形作家(吉田良)の手になるもので、まかり間違えば動き出しそうな雰囲気を持っている。そういう意味では人形の姿は怖いのだけれど、アイディアとしてとてもありきたりとも言える。
 人形に霊が宿るなんて題材は『チャイルド・プレイ』とか『アナベル 死霊館の人形』とか色々あるわけで、わざわざ舞台を劇場に設定し、そこに人形の首を運び込んで『劇場霊』という題名にしているのも苦しまぎれにも思えた。それなりに怖い部分はあるけれど、どれも想定内のものに過ぎず、異彩を放っていたのは人形が首を180度回転させて襲ってくるところくらいだろうか。

『劇場霊』 舞台で人形と共演する沙羅(島崎遥香)。ドレスが似合っていたと思う。

 中田秀夫監督は『リング』で一躍有名になったわけだが、出世作として『女優霊』という作品があり、この『劇場霊』はそれを意識している(ちなみに『女優霊』で主演だった柳ユーレイもちょっとだけ顔を出している)。『女優霊』に登場するのは撮影スタジオに出る女優の霊で、顔だけの霊(?)が床に転がっている場面にゾクゾクさせられた。『劇場霊』の人形も顔だけが冒頭に描かれた惨劇から救い出され、それが舞台の床に転がるのは『女優霊』の1シーンをなぞっているのだろう。それでもなぜか『女優霊』ほどの怖さは感じられなかった。
 最後になってスタッフロールのなかに秋元康の名前を発見し、忘れていた『クロユリ団地』のことを思い出した。AKB中田秀夫という組み合わせでは悪い前例があったわけで、そのことに最初に気がつかなければいけなかったのかもしれない。諸々の事情で引き受けざると得ない仕事というものがあるということなのだろうと勝手に推測してしまう。評判が悪かった前作『MONSTERZ モンスターズ』だってツッコミながら楽しめる部分は多かったわけで、余計にこの作品が残念なものに思えた。

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中田秀夫の作品
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Date: 2015.11.24 Category: 日本映画 Comments (0) Trackbacks (0)
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