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『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』 ナンバー2が最高ってこともある

 『スター・ウォーズ』シリーズの外伝。監督は『インフェルノ』などのロン・ハワード
 かつてハリソン・フォードが演じて人気者になったハン・ソロが主役となった作品。
 原題は「Solo: A Star Wars Story」

ロン・ハワード 『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』 『スター・ウォーズ』シリーズのスピン・オフ作品。

 スピン・オフ作品としては『ローグ・ワン』があるわけだけれど、一応『ローグ・ワン』が直接的にエピソード4に結びつく物語となっていたのに対して、『ハン・ソロ』は『スター・ウォーズ』正史とはまったく別の話となっている。
 時代設定としてはエピソード4の10年ほど前で、若かりし頃“ハン”と呼ばれていた青年が、いかにしてミレニアム・ファルコン号の船長“ハン・ソロ”となったのかが描かれていく。ファミリーネームかと思っていた“ソロ”の由来やら、チューバッカとのなれそめ、ファルコン号獲得に至るエピソードなど、ハン・ソロの過去が詳らかにされる。
 しかしコアな『スター・ウォーズ』ファンというわけでもない私としては、これまで台詞だけで触れられていたこと――「ケッセル・ランを12パーセクで飛んだ」という伝説などが出てきてもあまりピンと来なかった。ほかにも正史とは別のアニメ作品なんかも観ていないとわからない部分もあるそうで、「コアなファンには楽しめるのかもしれないけれど……」というところもあった。

『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』 ハン・ソロ(オールデン・エアエンライク)とチューイ。チューイはちょっとやせてた? というか毛並みの違い?

 エピソード4~6においてハン・ソロが魅力的なキャラだったのはわかるけれど、あくまで脇役としてであって、味方の窮地に登場して一番いいところをかっさらって行くところがよかったんじゃないんだろうか。『科学忍者隊ガッチャマン』で言ったら主人公のケンよりも、コンドルのジョーのほうが好きといった感じだろうか(この比喩が適当かどうかはわからないけれど)。
 今回の作品はハン・ソロ(オールデン・エアエンライク)が主役ということで、冒頭で幼なじみのキーラ(エミリア・クラーク)と自由を求めて惑星コレリアから逃げ出すことになるのだが、コレリアという故郷がそんなに酷いところなのかもわからないし、キーラとの関係もちょっとだけ触れられるだけだから、ふたりが逃げ出す動機も、離ればなれにされてもあきらめないという感情もよくわからず、物語に入り込めなかった(冒頭、画面が暗いのもちょっと気になった)。
 このふたりの関係は最後まで曖昧なままで、この作品のなかで何らかの決着がつくわけでもない。ふたりの関係が元に戻ることはないといった悲劇になるわけでもなければ、ハッピーエンドになるわけでもなく、そのまま次作に持ち越そうという展開には首をかしげることになった。
 それからエピソード4では宇宙の平和とかレジスタンスの大義より「金と命が大事」という態度だったハン・ソロが、本作ではレジスタンスにシンパシーを感じて大金を惜しげもなく差し出すことになるのだけれど、この落差はエピソード4までの間に何かしらの決定的な出来事が生じるということなんだろうか。どうやらこの作品自体の評判がいまひとつということで、『ハン・ソロ』シリーズ自体があやしくなっているようで、続篇が作られないとすれば、なおさら中途半端な作品ということになってしまうんじゃないだろうか。
 アクションとしてよかったのは西部劇を意識した列車強盗の場面。ハン・ソロにサバイバル術を伝授するトバイアス・ベケット(ウディ・ハレルソン)のキャラも悪くない。しかし、もっと感動的であってもよかったはずのハン・ソロがファルコン号を初めて操縦する瞬間に思い入れが感じられなかった。これならばエピソード7『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』で久しぶりに登場したファルコン号のほうが魅力的に映っていたんじゃないだろうか。135分それなりに楽しませるのだけれど、総じて不満が残る作品だった。

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Date: 2018.07.04 Category: 外国映画 Comments (0) Trackbacks (4)

『インフェルノ』 ラングドン教授/失敗篇

 ダン・ブラウン原作の『ダ・ヴィンチ・コード』『天使と悪魔』に続くシリーズ第3作目。
 監督は前2作と同様にロン・ハワードで、主役のロバート・ラングドン教授にはもちろんトム・ハンクス。共演には『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』の主演ということで注目されているフェリシティ・ジョーンズ
 
ロン・ハワード 『インフェルノ』 ラングドン教授(トム・ハンクス)はシエナ(フェリシティ・ジョーンズ)と一緒にフィレンツェを駆け抜ける。


 ラングドン教授(トム・ハンクス)は頭に傷を負ってフィレンツェの病院で目覚める。自分がなぜそんな場所にいるのか思い出せないラングドンは混乱するが、そのうちやってきた警官にも命を狙われる。その場は女医のシエナ(フェリシティ・ジョーンズ)に助けられ、自分が巻き込まれている事態を探っていくと、ゾブリスト(ベン・フォスター)という男の存在にたどり着く。

 ゾブリストの主張はこうである。このままいけば100年後には人類は滅びる。そのためには人類を今すぐに半分に減らさなければならない。ゾブリストは中世に猛威をふるった黒死病(ペスト)のようなウィルスを世界に撒き散らす計画を立てる。何とも自分勝手にも思えるのだが、一応は人類愛に貫かれている。というのは、自分が居なくなったあとに人類が滅びてしまうよりは、自分も含めた半分を今すぐに間引きすることで人類の存続を図るからだ。
 とはいえ常識的にはそんなことは許されるわけもなく、ラングドン教授はその計画を阻止するために奮闘することになる。

 宗教象徴学者という肩書きのラングドン教授は前2作でも様々な謎を解き明かしてきたわけだが、今回のネタになっているのはダンテ『神曲』「地獄篇(インフェルノ)」だ。『神曲』は「地獄篇」のあとに「煉獄篇」「天国篇」と続くわけだが、一番読まれたとされているのが「地獄篇」で、本作のなかでも現在の地獄の概念を作り上げたのがダンテだったと紹介されている。
 ただダンテの謎というものが登場するわけではない。ゾブリストが残したボッティチェリの『地獄の見取り図』などに導かれ、フィレンツェの観光案内のように名所を駆け巡り、ゾブリストが隠したものにたどり着くだけとも言える。一応付け加えておけば、ラングドン教授は頭に受けた傷によって、現世に居ながらにして「地獄篇」に描かれた地獄絵図のような情景を目にすることにもなる(幻視は短いけれどそれなりのインパクトがあった)。
 ゾブリストの計画と関係のないダンテの『神曲』が選択されているのは、キリスト教を奉ずる国では「地獄篇」が大きな影響を与えているからということなのだろう。ちなみにあやしげな便利屋の総監(イルファン・カーンが軽妙な味)が若者をけなしたあとに、わざわざ「35歳にならないと」などと口走っているのは、「地獄篇」の冒頭で暗い森のなかに迷い込んだダンテが「人生の半ば」である35歳だったとされているからなのだろう。何の説明もなくそんな台詞が口にされるのは、キリスト教国では常識のレベルで理解されるということなのかだろうか。

『インフェルノ』 ボッティチェリの『地獄の見取り図』のなかに暗号が……。

 本作『インフェルノ』のなかで何も忘れることがないと自分の記憶力を誇っているラングドン教授だが、今回は頭に傷を負い記憶障害の状態にある。数日前からの記憶が消え、唐突に事態の只中へと迷い込むことになる。そのためにラングドンは今回いくつかの失敗もやらかす(ダンテのデスマスクは自分で盗んだくせにそれを忘れてしまっている)。
 さらに『メメント』などでもあったけれど記憶障害のために、ラングドンは自分に接触してくる人物が敵なのか味方なのかがわからない。命を狙っているのか、彼を利用しようとする輩なのか、親切な援助者なのか、それがわからないから誰も信用できない。また事態の全容を見通せていないから謎を解いたとしても、それを誰に知らせればいいのかもわからない。謎解きに驚きはないけれど、そんな五里霧中をさまようサスペンスとしてはなかなか楽しかったと思う。

 また、今回は二組のカップルの恋愛ものといった感じもあって、その一組はラングドンとかつての恋人で、もう一組はかなりのネタバレなので一応伏せておく。ただ、そうした恋愛話がかえってスピーディーな展開を寸断しているような感じもした。
 ラングドンはかつての恋人と飛行機のなかで向き合ったとき、話好きなのに肝心なことは話さないと非難される。宗教などの薀蓄となればいくらでも滑らかに言葉が出てくるのに、肝心なこと(つまりは今向き合っているふたりのこと)に関しては言うべきことがない。そんなラングドンだったからふたりは別れ、それぞれの道を歩んだということらしい。そんなわけで今回はラングドンの活躍よりも失敗ばかりが目立つ作品だったかもしれない。

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Date: 2016.10.29 Category: 外国映画 Comments (0) Trackbacks (10)
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