『スパイダーマン:ホームカミング』 スパイダーマンの青春時代

 『COP CAR コップ・カー』ジョン・ワッツの監督作品。
 『スパイダーマン』のリブートだが、今回は『アイアンマン』などのMCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)の1作品となっていて、アイアンマンやキャプテン・アメリカなどのアメコミ・ヒーローとの絡みも。

ジョン・ワッツ 『スパイダーマン:ホームカミング』 スパイダーマンのスーツにはアイアンマンの技術が使われているという設定となっている。

 実は『アベンジャーズ』などのMCUを見ていないので途中参加に心配していたのだけれど、サム・ライミ版の『スパイダーマン』シリーズは見ているし、子供のころにテレビでやっていた巨大ロボを操る日本版のスパイダーマンは見ていた(あれは一体何だったのだろう)ので、設定等は何となくわかっているからそれほど違和感もなく『スパイダーマン:ホームカミング』も楽しめた。
 今回のピーター・パーカー(トム・ホランド)はかなり若い。まだ15歳の高校生という設定なのだ。ヒーローとして働きたいけれど今はまだ見習い中みたいなもので、アベンジャーズにお呼びがかかることもなくひとりで突っ走ってしまう。身体能力もあるし正義感もあるのだけれど、若さゆえかやることなすこと失敗ばかりなのだ。
 サム・ライミ版が確立させたニューヨークの摩天楼を飛び回る爽快感を受け継ぎつつも、高い建物のない郊外では能力が発揮できずに愚痴を言いながら走っていくほかないというズッコケぶりがかわいらしい。ヒーローのつもりが騒ぎを大きくして父代わりアイアンマンに助けてもらうピーターはまだまだ未熟者で、この作品はピーターの成長物語となっている。そして、まだ学生でもあるピーターの青春を描く作品でもある。

『スパイダーマン:ホームカミング』 わざわざ『ブレックファスト・クラブ』のパロディまで撮影している。ジャド・ネルソンの位置にネッド(ジェイコブ・バタロン)というのは変な気もするけれど。

 途中で『フェリスはある朝突然に』が引用されている部分があるけれど、この作品は80年代に多くの青春映画で人気を博したジョン・ヒューズ作品がかなり意識されているようだ。ピーターが居残りをさせられる場面は『ブレックファスト・クラブ』を思わせなくもないし、この作品のピーターとリズ(ローラ・ハリアー)の関係が、「庶民とセレブ」という関係となっているのは『プリティ・イン・ピンク/恋人たちの街角』(ジョン・ヒューズ脚本)とも似てなくもない。最後に「ホームカミング」と呼ばれるパーティが用意されているあたりも青春映画っぽい趣きだった。
 今回の敵役バルチャーとなるのはマイケル・キートン。トニー・スターク(=アイアンマン)に仕事を奪われてしまい、仕事仲間や家族を養うために悪事に手を染めることになる。決して大それたことはせず、夜陰に紛れて仕事をし、こっそり稼ぐ。悪役としては小物で、最後にはちょっといい奴なのかもしれないと思わせるあたり、『ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ』でも英雄なのか怪物なのかわからない微妙な線を演じていたマイケル・キートンらしい役柄だった。

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Date: 2017.08.20 Category: 外国映画 Comments (0) Trackbacks (6)

『COP CAR コップ・カー』 のん気な子供と必死なケヴィン・ベーコン

 ケヴィン・ベーコンが主演・製作総指揮を務めた作品。

ジョン・ワッツ監督 『COP CAR コップ・カー』 主役と製作総指揮にはケヴィン・ベーコン。

 この作品のジョン・ワッツという監督は、次の『スパイダーマン』シリーズの監督に決定している注目の人物とのこと。最初の監督作はYouTubeにフェイクの予告編を投稿し、冗談でイーライ・ロスの名前を製作総指揮としていたところ、本当にイーライ・ロスから連絡が来てデビューしてしまったという幸運の持ち主。
 そのデビュー作『クラウン』は、主人公が子供のためにピエロ(=クラウン)の衣装を着たものの、それは呪われた衣装で次第に主人公の身体は何かに乗っ取られていくというもの。『ホステル』シリーズのイーライ・ロスが製作なだけにグロテスクな部分もあるのだけれど、自らのすべてがモンスターに支配されていくという状況に『ザ・フライ』のような悲哀を感じさせる作品だった。

 今回の第2作『COP CAR コップ・カー』は、少年ふたりがたまたま見つけたパトカー(=コップ・カー)を調子に乗って乗り回しているうちに、とんでもない事件に巻き込まれてしまうというもの。
 予告編などを観ると狂人警官に追い回されるサスペンスという印象だけれど、実際にはちょっと違う。家出をしているらしいトラヴィス(ジェームズ・フリードソン=ジャクソン)とハリソン(ヘイズ・ウェルフォード)が果てしなく広がる平原を歩いてくる。大人から禁止されている言葉を言い合いながらの旅には『スタンド・バイ・ミー』のような雰囲気もあって、少年たちの冒険物語を思わせる。
 少年たちは家出をしていても臆病で、パトカーを見つけてもすぐには近づけない。それでいてあまりに無防備なところもあって、銃口を覗き込んではしゃぐほどに幼い。だからこの作品では追ってくる警官ミッチの怖さよりも、少年たちの未熟さのほうにハラハラさせられる。

『COP CAR コップ・カー』 ハリソン(ヘイズ・ウェルフォード)とトラヴィス(ジェームズ・フリードソン=ジャクソン)はパトカーから銃を持ち出して……。

 少年たちにパトカーを奪われてしまう詰めが甘いミッチ・クレッツァー保安官を演じるのがケヴィン・ベーコン(製作総指揮も兼ねているだけに楽しそうに悪役をこなしている)。ちょっとした用事でパトカーを離れたミッチが戻ってくるとあるべきところに車がないことに唖然とする。ミッチの用事とは死体の処理で、パトカーにはほかにもヤバいものが隠されているためにランニング姿で必死になって平原を走り回ることになる。
 保安官ミッチは、見た目は口ひげにサングラスでいかにも悪そうだが、少年たちのいたずらにとことん振り回されるかわいそうな役柄。少年たちはパトカーを乗り回して楽しんでいるのに、一方のミッチは身の破滅を前にして最悪の気分。ミッチは警察無線でパトカー泥棒が少年たちであることを知ると、ふたりに無線で「遊びは終わりだ」と凄むのだけれど、警察ごっこに夢中になっているふたりには伝わらない。焦りまくって必死になる大人たちと、のん気な子供たちというコントラストがとてもいい。

 少年たちが何から逃げるために家出してきたのかはわからないけれど、厄介なトラブルに巻き込まれ大人たちの危険な世界を垣間見たあとには子供のままではいられない。ラストでは「ファック」という禁止用語を言えなかったハリソン少年も、その言葉を必死に叫ぶことになる。暗闇のなかパトカーを時速100マイルで走らせる姿には、トラブルに遭遇したことで成長したハリソンを見て取れるだろう。90分に満たない小品だけれど、観逃すには惜しい作品。

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Date: 2016.04.20 Category: 外国映画 Comments (0) Trackbacks (3)
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