『レディ・バード』 Ladybird, ladybird, Fly away home.
『20センチュリー・ウーマン』や『フランシス・ハ』などに出演していたグレタ・ガーウィグの監督作品。これまでも脚本などは手がけていたグレタ・ガーウィグの初の単独監督作となるとのこと。

この作品は監督で脚本も書いているグレタ・ガーウィグの自伝的要素が入っているとのこと。グレタ・ガーウィグが脚本を書いていた『フランシス・ハ』の主人公も地下鉄構内でオシッコしてしまうような自由さがあったが、『レディ・バード』の主人公クリスティンも、母親との意見の対立から走っている車のなかから飛び出してしまうというメチャクチャな女の子だ。
主人公を演じたシアーシャ・ローナンは、アカデミー賞に何度もノミネートされていてすでにベテランとすら思えるけれど、この作品ではニキビ面を隠すことなく高校生役を演じている。そんなシアーシャ・ローナンの主演作『ブルックリン』は、故郷のアイルランドを離れ、ブルックリンという都会を第二の故郷とすることになる女性の話だったが、『レディ・バード』は故郷の田舎町サクラメントを離れたくてしかたなかった女の子が、実際に離れることになって初めて故郷の素晴らしさを知る話ということになるだろうか。

この作品の主人公クリスティンは、親への反抗なのか自分を“レディ・バード”という自らが決めた名前で呼ぶことを周囲に求める。しかし最後の場面では、親から与えられたクリスティンという名前を受け入れることになる。
友人関係も同様で、一度は日焼けしたカッコいい女の子ジェナ(オデイア・ラッシュ)と親しくなり、以前からの親友でぽっちゃりのジュリー(ビーニー・フェルドスタイン)とは疎遠になってしまうものの、最後にはジュリーとヨリを戻すことになる。
さらには男性関係も同様だ。最初の彼氏であるダニー(ルーカス・ヘッジズ)は実はゲイだったことが判明し、次の彼氏カイル(ティモテ・シャラメ)とは初体験までするものの彼が嘘つきであることがわかって幻滅する。結局はセックスよりもオナニーのほうがよかったというのも、色々体験して元のところのよさを知るということだろうか。
それはともかくとしてこの作品でよかったのは主人公レディ・バードと母親マリオン(ローリー・メトカーフ)の関係性だろう。いつも対立しているようでいて、愛情を求めてもいる。女性監督だからこそ描ける母と娘の微妙な関係で、それを具体的に説明することはなかなか難しい。視点は主人公であるレディ・バードのほうにあるのだけれど、時にその視点が母親側に移行する場面もあって、どちらの気持ちもよくわかる。女性がこの作品を観れば色々と共感できたり身につまされたりすることが多いんじゃないだろうか。
サクラメントをドライブする場面では、ふたりの姿が重ね合わされるように編集されている。ここでは母と娘は違う人間ではあるけれど、同一性を持つ存在のようにも感じられた。母と息子、父と息子の関係だったらそんな感覚は妙なものとなるはずで、母と娘という関係性には独特なものがあるのかもしれないなどと感じた。




この作品は監督で脚本も書いているグレタ・ガーウィグの自伝的要素が入っているとのこと。グレタ・ガーウィグが脚本を書いていた『フランシス・ハ』の主人公も地下鉄構内でオシッコしてしまうような自由さがあったが、『レディ・バード』の主人公クリスティンも、母親との意見の対立から走っている車のなかから飛び出してしまうというメチャクチャな女の子だ。
主人公を演じたシアーシャ・ローナンは、アカデミー賞に何度もノミネートされていてすでにベテランとすら思えるけれど、この作品ではニキビ面を隠すことなく高校生役を演じている。そんなシアーシャ・ローナンの主演作『ブルックリン』は、故郷のアイルランドを離れ、ブルックリンという都会を第二の故郷とすることになる女性の話だったが、『レディ・バード』は故郷の田舎町サクラメントを離れたくてしかたなかった女の子が、実際に離れることになって初めて故郷の素晴らしさを知る話ということになるだろうか。

この作品の主人公クリスティンは、親への反抗なのか自分を“レディ・バード”という自らが決めた名前で呼ぶことを周囲に求める。しかし最後の場面では、親から与えられたクリスティンという名前を受け入れることになる。
友人関係も同様で、一度は日焼けしたカッコいい女の子ジェナ(オデイア・ラッシュ)と親しくなり、以前からの親友でぽっちゃりのジュリー(ビーニー・フェルドスタイン)とは疎遠になってしまうものの、最後にはジュリーとヨリを戻すことになる。
さらには男性関係も同様だ。最初の彼氏であるダニー(ルーカス・ヘッジズ)は実はゲイだったことが判明し、次の彼氏カイル(ティモテ・シャラメ)とは初体験までするものの彼が嘘つきであることがわかって幻滅する。結局はセックスよりもオナニーのほうがよかったというのも、色々体験して元のところのよさを知るということだろうか。
それはともかくとしてこの作品でよかったのは主人公レディ・バードと母親マリオン(ローリー・メトカーフ)の関係性だろう。いつも対立しているようでいて、愛情を求めてもいる。女性監督だからこそ描ける母と娘の微妙な関係で、それを具体的に説明することはなかなか難しい。視点は主人公であるレディ・バードのほうにあるのだけれど、時にその視点が母親側に移行する場面もあって、どちらの気持ちもよくわかる。女性がこの作品を観れば色々と共感できたり身につまされたりすることが多いんじゃないだろうか。
サクラメントをドライブする場面では、ふたりの姿が重ね合わされるように編集されている。ここでは母と娘は違う人間ではあるけれど、同一性を持つ存在のようにも感じられた。母と息子、父と息子の関係だったらそんな感覚は妙なものとなるはずで、母と娘という関係性には独特なものがあるのかもしれないなどと感じた。
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