『リグレッション』 なぜ、今、公開したんだろうか?
『アザーズ』などのアレハンドロ・アメナーバル監督の2015年の作品。
タイトルの「Regression」とは、「退行」などを意味する。
事の発端は少女のレイプ事件。被害者のアンジェラ・グレイ(エマ・ワトソン)は父親ジョンのことを告発する。ジョンはそれを認めるものの、その記憶はないという。捜査に当たることになったブルース・ケナー(イーサン・ホーク)は心理学者(デヴィッド・シューリス)の助けを借り催眠療法によってジョンのことを調べる。そうした捜査の結果、浮かび上がってきたのが悪魔崇拝者たちによる恐ろしい儀式の存在。アンジェラはそうした儀式の一環で被害に遭い、その儀式によってはほかにも被害者が出ているのだという。そして、その儀式では子供が食べられたりもしているのだという……。
そんな禍々しい展開をしていくのだが、実際に証拠として挙がってくるものは何もない。一体どういうことなのか?
※ 以下、ネタバレあり!!

最初の告発ではレイプされただけだったはずなのに、それがいつの間にか悪魔崇拝者の話になっていくのも不自然だったし、何より捜査官のブルースがなぜそれを信じてしまうのかがよくわからない。ブルースはアンジェラの声を聞きながら実際に悪魔崇拝者の儀式を目撃したかのような錯覚に陥ってしまい、自分も彼らに襲われるんじゃないかという妄想を抱くまでになってしまう。しかし、そのブルースの背景はいっさい描かれないものだから、なぜそんな過ちを犯すのかがよくわからないのだ。もしブルースが真相にたどり着くのであれば、彼の背景など描かなくてもよかったのかもしれないけれど……。
「幽霊の正体見たり枯れ尾花」と言うけれど、枯れ尾花(枯れたススキ)が幽霊に見えてしまうのは、見ている人が怖がっているからで、怖がってなければ幽霊など見えるわけもない。だとしたらブルースが怖がる理由があるはずと思うのだけれど、それが描かれないから最初から観客にとっても疑わしい話になってしまっていたと思う。オチがオチだけに、そこは失敗だったんじゃないだろうか。エマ・ワトソンみたいな少女が困っていたら心配にもなるだろうとは思うけど、それにしても……。
イーサン・ホークとエマ・ワトソンの共演というそれなりに話題になりそうな作品なのに、今まで公開されていなかったのも肯けるという気もする。


タイトルの「Regression」とは、「退行」などを意味する。
事の発端は少女のレイプ事件。被害者のアンジェラ・グレイ(エマ・ワトソン)は父親ジョンのことを告発する。ジョンはそれを認めるものの、その記憶はないという。捜査に当たることになったブルース・ケナー(イーサン・ホーク)は心理学者(デヴィッド・シューリス)の助けを借り催眠療法によってジョンのことを調べる。そうした捜査の結果、浮かび上がってきたのが悪魔崇拝者たちによる恐ろしい儀式の存在。アンジェラはそうした儀式の一環で被害に遭い、その儀式によってはほかにも被害者が出ているのだという。そして、その儀式では子供が食べられたりもしているのだという……。
そんな禍々しい展開をしていくのだが、実際に証拠として挙がってくるものは何もない。一体どういうことなのか?
※ 以下、ネタバレあり!!

最初の告発ではレイプされただけだったはずなのに、それがいつの間にか悪魔崇拝者の話になっていくのも不自然だったし、何より捜査官のブルースがなぜそれを信じてしまうのかがよくわからない。ブルースはアンジェラの声を聞きながら実際に悪魔崇拝者の儀式を目撃したかのような錯覚に陥ってしまい、自分も彼らに襲われるんじゃないかという妄想を抱くまでになってしまう。しかし、そのブルースの背景はいっさい描かれないものだから、なぜそんな過ちを犯すのかがよくわからないのだ。もしブルースが真相にたどり着くのであれば、彼の背景など描かなくてもよかったのかもしれないけれど……。
「幽霊の正体見たり枯れ尾花」と言うけれど、枯れ尾花(枯れたススキ)が幽霊に見えてしまうのは、見ている人が怖がっているからで、怖がってなければ幽霊など見えるわけもない。だとしたらブルースが怖がる理由があるはずと思うのだけれど、それが描かれないから最初から観客にとっても疑わしい話になってしまっていたと思う。オチがオチだけに、そこは失敗だったんじゃないだろうか。エマ・ワトソンみたいな少女が困っていたら心配にもなるだろうとは思うけど、それにしても……。
イーサン・ホークとエマ・ワトソンの共演というそれなりに話題になりそうな作品なのに、今まで公開されていなかったのも肯けるという気もする。
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